ハッピー昭和クラブ

昭和大好きブロガー達による、昭和歌謡と映画のこぼれ話 あの映画は、あの曲はまさにそんな事だったのか!と感動再び!

昭和大好きブロガー達による、昭和歌謡と映画のこぼれ話
あの映画は、あの曲はまさにそんな事だったのか!と感動再び!

あらかじめ失われた映画

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長年、気になっていた映画をようやく観ることができました。「脱出」(1972 和田嘉訓監督)です。ジャッピー!20号で石橋蓮司さんのインタビューを行ったとき、フィルモグラフィを作成するのに調べてみると、この作品が未公開であると知ったのでした。それ以来、何とか観れないかと思っていたところ、シネマ・ヴェーラで上映してくれたのです! その年、日本中を震撼させた「あさま山荘事件」と内容が重なるところがあると、東宝が配給をストップ、お蔵入りとなってしまった作品なのです石橋蓮司、フラワー・メグ、荒木一郎、林ゆたか、原田大二郎、青木義朗……この魅力的なキャスティング、誰だって観たくなるでしょう! ちなみに原作は西村京太郎、今や2時間ドラマに欠かせない売れっ子作家ですが、これが初めての映像化作品です。
翌日の朝10時にブラジルに渡航することになっているハーフのサチオ(ピート・マック・ジュニア)が、以前バーテンをしていたバー「黒猫」に挨拶がてら立ち寄ります。そこで自慢のカクテルをふるまおうとしたら、カウンターに座っていた白人客が「黒んぼが作ったものなんか飲めるか!」とからんできます。店の迷惑にならないよう外に連れ出すと、その白人がナイフを持ち出したので、応戦しているうちに殺してしまったと思ったサチオは逃げます。サチオと同じ施設で育ったゴーゴー・ガールのアキコ(フラワー・メグ)の所に来たサチオに、そこにたまたまいた3人の男が「俺たちがお前をブラジルに行かせてやる」と申し出ます。あとから、ヒッピーのダミイ(石橋蓮司)が加わり、5人の男女がサチオの逃亡を助けようとするわけですが サチオが乗る船が出る横浜の近くに潜伏する方がいいとある邸宅に押し入り、主人を人質に占拠、作戦を練ります。すでに横浜港に警察が張りこんでいることを知って、指揮をとる原田は「ゲリラ戦で行くしかない」と話し、火炎ビンを大量に作らせます。原田は実は過激派学生で、これに乗じて、逮捕された自分の組織のリーダーを奪還するのが目的だったのです。そして翌朝、警察の厳戒態勢の中、一同は横浜へ。サチオは無事に船に乗れるのか……
人質をとっての潜伏。そこで起こる内ゲバ。特ダネ狙いで仲間に入っていた荒木一郎が社に電話しようとしていたのを見て縛り上げ、「裏切者は本来は処刑するところだ」という原田など、たしかに連合赤軍を思わせる描写、フラワー・メグがパトカーに火炎ビンを投げつけるシーンもありますが、イデオロギーの為には何でも利用しようという原田には感情移入できないような作りだし、虐げられたハーフの青年とその幼馴染の逃亡へのシンパシーが主軸になっています。12時間というタイムリミットの中のサスペンスフルな展開といい、お蔵入りは不運だったなあと思わせる良い作品でした。(クランクアップ直前に上映中止を通達されたそうです……)
原田のグループが起こした川崎重工爆破事件がこの映画の2年後に起きた反日武装戦線による三菱重工爆破事件を予見させるようだし、ゴーゴー・クラブ(!)がある新宿歌舞伎町の風景、ヒッピー、アキコの部屋に飾ってある巨大なスマイル・マーク、歌手志望の青年役の林ゆたかが「森進一のセンを狙ってるんだよね」という台詞、この映画の5年後、1977年にロマンポルノにデビューする山口美也子が出ているなど、後から観て楽しめる昭和的要素もたくさんあります。あ、「学生街の喫茶店」でブレイク前のガロが出ているのも見逃せません!
(ジャッピー!編集長)
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レコード・ジャケットの愉しみ

昨日、このブログで紹介した「イエスタデイ」(2014 ペーテル・フリント監督)の時代設定は1967年です。もう、いわゆる「青盤」の時代に入っていて、ビートルズの音楽も、ロック・ミュージック自体も大きく変革の季節を迎えていました。それが、主人公たちの高校生という時期、大人に変わっていく青春後期に重なっていると見えます。後半、怒ってライヴ会場を出て行ったセシリアを追って通りに出ると、そこはベトナム戦争に対する反米デモ行進の真最中、その混雑の中を路面電車に乗ったセシリアを走って追いかけるキム。無邪気な子供時代と違って、自分を取り巻く社会や世界が否応なしに視野に入ってきたことを表すようなシーンでした。ここにLET IT BE(アルバム・ヴァージョン)が流れます。劇中の時代では、まだ発表されていない曲を入れたのは、「解散」のイメージと青春の終わりをだぶらせたのかもしれません。
また、映画の始めの方に、イギリスから送ってもらっていち早く、「サージェント・ペッパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のアルバムを入手して、4人が興奮気味に包みを開けるシーンがあります。開けると、あのカラフルなジャケットが現れて、それを見た一人が「あ、ヒゲ生えてる!」と第一声をあげるのが印象的です。もう、いわゆる「青盤」の時代に入っていて、ビートルズの音楽も、ロック・ミュージック自体も大きく変革の季節を迎えていました。それが、主人公たちの高校生という時期、否応なしに大人に変わっていく青春後期に重なっていると見えます。(ちなみに、このジャケットにはボブ・ディランも映っています) そして、4人は期待感いっぱいでレコードを慎重に出し、ターン・テーブルに乗せます。
このワクワクする気持ち、わかるなあ! あのLPレコードの大きなジャケット! 実際に針を落として音楽が始まる前に、ジャケットを眺めるところからそのアルバムは始まっているんですよね。それがCDになり、今や配信だとかダウンロード、確かに手軽になったのかもしれません。良い言い方をすれば、まさに空気のように当たり前に音楽があるという感じかもしれません。( air には音楽という意味もあります) しかし、レコードの時代の方が、音楽を大切にしていたように思えます。ダウンロードしたことないから、よく知りませんが、クリックして簡単に手に入る音楽は消費されるモノと思えてしまうのは僕が古い人間だからでしょうか。曲を思い出すとき、ジャケットを思い浮かべ、ジャケットを思い出すとき、曲が頭の中に浮かんでくる……
映画の中でレコード・ジャケットが印象的なのは、「バニラ・スカイ」(2001 キャメロン・クロウ監督)20131117_88976

。ボブ・ディランの2作目「フリーホイーリン・ボブ・ディラン」のあのジャケット写真(ディランと当時の恋人・スーズ・ロトロが腕を組んでいる)のイメージが重要な役割を果たしています。   (ジャッピー!編集長)
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ビートルズから始まる

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「今までで、自分の人生を変えるような出会いについて」みたいな作文の課題に取り組む教室のシーンから始まる「イエスタデイ」(2014 ペーテル・フリント監督)を観てきました。原題はズバリ、“BEATLES” ですが、邦題は「イエスタデイ」。劇中、主人公が失恋して哀しみにくれるシーンに 心情に合わせるようにYesterday が流れることもあるのでしょうか。唄うのは、a-ha (懐かしいですね。Take On Me のヒットがありました。)のマグネ・フルホルメンでいい味のヴォーカルです。彼はこの映画の音楽監督もつとめています。うーん、もうちょっと邦題、何とかならなかったのか……。
それはともかく、舞台は1967年のノルウェーのオスロ。ちょっと悪さはするが、ビートルズに心酔する4人の高校生がバンドを組んで……という青春映画です。4人はそれぞれビートルズのメンバーを模していて、語り手はポールに似ていると言われるキム君です。キム君を演じるオーディションで選ばれた少年はたしかにほんのちょっとポールっぽい表情を見せます。転校してきたセシリアという女の子に恋して、初めてのデートにときめき、ちょっとしたことで疑い、悩み……。絶望して酒に酔って屋根に上って仲間(ジョン)に助けられたり、十分にカッコ悪く、青春をこじらせながら成長していきます。
初めて自転車でピクニックに行った二人がかじるのが「緑色のリンゴ」だったり、セシリアに「ビートルズで一番好きな曲は?」と聞かれて、「ミッシェル以外のラバー・ソウルの曲かな」と答えると「あら、ミッシェル、素敵な曲だわ」と二人の趣味が微妙に合わないことを示すセリフとか、随所にビートルズがからみます。ツンデレのセシリアとようやく相思相愛になれたのですが、キムは以前、「その男ゾルバ」(1964 マイケル・カコヤニス監督)を観に行った映画館で一度だけ会った女の子に妄想のラブレターを書いていて、それをセシリアに見られ誤解されます。冒頭の作文も延々と書いて(映画は回想スタイルで進みます)、はっきり語られないですが、どうも将来モノ書きになるような感じが、Paperback Writer の歌詞に暗示されます。
悩み多きキム君に母親が「頭の中にはたくさんの放送局があるの。正しい局に合わせるのは難しいわ。大人になるには内なる声を聞くの。自分の声を見つけるの」と励ますシーンが印象的でした。映画は「僕の人生で大きな影響を与えた出会いは、ビートルズの4人とそれを介して出会えた3人の仲間だ」と作文を書きあげて終わります。
これはノルウェーの映画ですが、きっと当時、ビートルズは世界中の国の小さな街に住む、名もない若者たちの内なるスィッチを入れ、動かしたんだろうなあと思いました。   (ジャッピー!編集長)


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答えは風の中

ボブ・ディランのノーベル文学賞受賞は今日の新聞の1面に大きく出ていました。吉田拓郎さんの「もし、あの時にボブ・ディランがいなかったら、と考える。ボブ・ディランがいたから今日があるような気もする。多くのことがそこから始まったと僕は思うのだ」というコメントも出ていました。僕がディランの「ハッティ・キャロルの寂しい死」を知るきっかけになった「準ちゃんが吉田拓郎に与えた偉大なる影響」という大河?青春彷徨ソングの中で、憧れの準ちゃんが他の男と同棲していることを知った「僕」が悲しみにうちひしがれたときを ♪その頃、僕はボブ・ディランを知った 何でもいいから彼の真似をしてみた 家を飛び出して旅もしてみた 広島にいるのが辛かった……と唄われます。
ディランの曲に自分の歌詞をのせて、そこにディランへの傾倒も入れこむ。これはすごいリスペクトだと思います。今日の新聞にのっていたコメントも、そんなディランから受けた初期衝動を大事にしているなあと感じられます。
ボブ・ディラン自身もファースト・アルバムはほとんどカントリーや黒人ブルース、トラディショナルの曲が占めていたし、ウディ・ガスリーに傾倒しての放浪者志向だったのです。代表曲の「風に吹かれて」も、奴隷売買の悲惨を唄った黒人霊歌“No More Auction Block” のメロディに詞をのせたものだし、「時代は変る」にもたしか元となるトラディショナル・フォークの曲があったと思います。いわば、そういった先人たちへのリスペクトがこもった伝承音楽といっていいと思います。その生地にディランの創造性が織り込まれ、様々な色合いや風合いをもたらすのだと思うのです。近年、ディランがいわゆるスタンダード曲を唄うアルバムを出したりするのも別に奇をてらっているわけでもないのです。
それにしても、ディランがキース・リチャーズとロン・ウッドを従えて「風に吹かれて」を唄いトリをつとめたUSA FOR AFRICA のコンサートから30年あまりが経ったけれど、テロや紛争はなくなりません。答えはいまだ風に舞っているのでしょうか。   (ジャッピー!編集長)
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たくろう経由ディラン行き

「職業としての小説家」(新潮文庫)、「女のいない男たち」(文春文庫)翻訳本で、自身の短編がボーナストラック風についている「恋しくて」(中公文庫)と、このところ、村上春樹の文庫が立て続けに出るなあと思っていたら、ノーベル賞の季節だからですね。きっと各出版社は既に「祝・ノーベル文学賞!」と書かれた帯を刷って、いつでもかぶせるように準備していたことでしょう。こんなに毎年、期待されるのも気の毒です。
さて、そのノーベル文学賞、ボブ・ディランが受賞しました。何年か前から、受賞するのではないかと言われてきましたから、そんなに驚きはないけれど、やっぱり嬉しいものです。
僕がディランを聴くきっかけは、吉田拓郎でした。「よしだたくろう・オン・ステージ・第2集」というライヴ・アルバムがあり、これは延々と「人間なんて」を唄う、というよりガナり続ける模様が収録されていて有名なアルバムなのですが、そのため2枚組になっていて、小遣いでは手が出ませんでした。それで、友達にカセット・テープに録ってもらい聴いたのですが、そこにやはり長尺の「準ちゃんが吉田拓郎に与えた偉大なる影響」という曲が入っていて、この自伝的な一曲にガツンとやられてしまったのです。で、調べてみると、それはボブ・ディランの「ハッティ・キャロルの寂しい死」という曲のメロディに拓郎が詞をつけたものと分かり、それで、その曲が収録されている「時代は変る」というアルバムを聴いたのでした。images

何だか、痩せた男が苦悩を滲ませるような表情のポートレートをジャケットにしたアルバムに入っていたその元の曲は、黒人のウェイトレスが些細なことで白人男性に殴り殺された実際の事件のことを唄っていて、僕はこの曲にもガツンとやられたのでした。何しろ、思春期だったものですぐにガツンとやられるのです。そのあと、ガロが「学生街の喫茶店」の中で、♪片隅で聴いていたボブ・ディラン~と唄ったのでした。
そんな吉田拓郎経由のディランとの出会いを思い出しました。たしか、ディランの曲を勝手に使ったとか、拓郎自身が発売を許可しないままリリースされたとかの理由で、この「よしだたくろう・オン・ステージ・第2集」は廃盤になってしまい、CD化もされていません。ボブ・ディランのノーベル文学賞受賞記念で出してくれませんかねえ。
(ジャッピー!編集長)
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きたさん
1975年「空飛ぶ鯨」でデビューしたちゃんちゃこのメンバー。デビュー40周年を経て昭和の素敵な時代の歌や出来事を再発見
ジャッピー!編集長
映画雑誌「ジャッピー!」を主宰する編集長
映画や昭和歌謡に底知れぬ造詣を示す昭和博士
ハピイ氏橋
昭和のあれやこれやをイラストにして解説。
独自の目線で昭和の面白さを掘り起こすイラストレーター
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