ハッピー昭和クラブ

昭和大好きブロガー達による、昭和歌謡と映画のこぼれ話 あの映画は、あの曲はまさにそんな事だったのか!と感動再び!

昭和大好きブロガー達による、昭和歌謡と映画のこぼれ話
あの映画は、あの曲はまさにそんな事だったのか!と感動再び!

「網走番外地」に滲む詩情

川野知介さんとムトー清次さんのトークショーに続いて、「網走番外地」(1965 石井輝男監督)の上映がありました。もう何度も観ている作品ですが、よく出来た映画だなーとつくづく思いました。
石井監督が「手錠のままの脱獄」(1958 スタンリー・クレイマー監督)を観て、こういう作品をやりたいとあたためていた企画ですが、元々、B面というか、メインの作品ではなく、しかも若い女優=ヒロインが出ないということで、予算が減らされカラーから白黒作品に変更になってしまいました。しかし、それが逆に奏功したと言えます。石井監督も「何れにしろ、雪、雪、雪、白一色の世界だ。よし、白黒フィルムを逆手にとって撮ってやろう。そう決めると後は、ばりばり具現化するだけだった」と語っています。
雪に覆われる北海道の大自然、随所に挟まれる凍てつく空を舞い飛んでいく鳥たち、などのモノクロ映像が、囚人たちの置かれた厳しい環境、望郷の思いを際立たせます。健さん演じる橘真一の過去が挿入され、それを補填するように、主題歌が流れ……全くもって娯楽映画のお手本みたいな見事な作りであります。そして、零下30度という過酷な撮影に臨んだスタッフ、キャストの頑張りもあります。凍ってしまわないようにカメラには懐炉をくっつけたり、体調を崩し、熱をおして悪役を演じた南原宏治さん、石井監督の熱烈な出演依頼に応えたアラカンさんなど、周りの役者たちも見事なアンサンブルで健さんを盛り上げます。クライマックスのトロッコによる追跡劇も、今観てもけっこうな迫力でハラハラさせます。
そして、この映画の根幹に流れている「母恋い」の感情。刑務所にいるアウトローだけど、健さん=橘に感情移入してしまうのは、僕たち観客の中に「長谷川伸の世界」的な遺伝子が埋め込まれているからに相違ありません。今はどうかわかりませんが、少なくとも、この映画が公開された頃には誰でもこの遺伝子を有していたのです。ある時期までの日本人なら絶対に逃れられない心の習慣。そこをグッとついてきますからたまりません。
スピーディなアクションやのちの異常性愛路線などのイメージが強い石井監督ですが、元々助監督時代についた成瀬巳喜男監督について、「神様みたいな人。ただ感服するのみ。偉大な方」と言うほど心酔していたのです。新東宝で監督昇進するときも成瀬監督の「おかあさん」(1952 成瀬巳喜男監督)みたいな作品を撮りたいと企画をずいぶん出していたそうですが、会社の方針で全然通らなかったのです。荒くれ男たちの活劇にそんな石井監督の詩魂が滲み出たのが「網走番外地」だったのではないでしょうか。    (ジャッピー!編集長)

にほんブログ村 その他趣味ブログ 昭和レトロへ にほんブログ村
おもしろいと思ったら、クリックしてください!

船堀映画祭に行ってきました

14955829_1180109912070252_8604371496400928029_n
昨日、11月5日(土)は第8回船堀映画祭に行ってきました。船堀駅前にドーンと威風堂々とそびえたつタワーホール船堀で開催される地域密着型の映画祭で、毎年この時期に開催されています。手作り感がいいムードを醸し出していて、僕もだいたい毎年足を運んでいます。今年は駅前の広場にいくつかの露店が出ていて、焼きトウモロコシやセイロで蒸した豚まんのいい匂いが漂い、さらにお祭り気分を盛り上げていました。
毎年、監督や俳優を招いてのトークショーもあり、今年の僕のお目当ては、三回忌を迎える高倉健さんの「網走番外地」(1965 石井輝男監督)の上映に合わせて、川野知介さん(元・新芸プロ プロデューサー)と写真家のムトー清次さん、お二人のトーク・ショーです。
戦時中は海軍に属していたということで、海軍のリボンを持っていらしてました川野さんは御年91歳(!)なのですが、健さんにまつわる話の中では、正確に日付がでてくるのでその記憶力にビックリしました。昭和29年、美空ひばりさんなどを抱えていた新芸プロの事務所に、見習いマネージャー志願の健さんが初めてやって来たときに「カッコいいので驚いた」話から、すぐにマキノ光雄プロデューサーから「役者になった方がいい」と言われ、東映第2期ニューフェイスとして採用され(同じニューフェイス試験を小林旭さんも受けたが不合格。旭さんは「あの時の高倉健のことは憶えている」と後に語ったそうです)異例のスピードで「電光空手打ち」(1956 津田不二夫監督)で主演デビューに至るまでをよどみなく語られました。
「網走番外地」については、まず歌があって映画の企画になったという話が聞けました。元々、作者不詳の刑務所歌を、北海道に公演に行ったダイナ・ブラザーズが採譜してきたものを誰に唄わせるかいろいろ候補者があがる中、「高倉に唄わせてみよう」となってレコードを出したところ、ヒットしたので商魂たくましい東映が「映画にしよう」と企画したということです。川野さんは、「網走番外地」のシングル盤を持参、見せてくれました。(初版レコードは残念ながらコピーでしたが)。
健さんの写真を数多く撮られたムトーさんによると、「後年不器用で売ってた健さんだが、本人は器用な男。無口なイメージだがおしゃべりな人だった」とプライベートな健さんの素顔の一端を紹介してくれました。ムトーさんの子供を肩車する健さんなど、素の健さんを映した写真は当時、東映から「イメージが壊れるから使わないでくれ」と言われていたそうです。(現在は「週刊朝日臨時増刊 追悼高倉健」に所収)
上映された「網走番外地」の橘真一みたいな、ちょっととっぽいところもある気のいいあんちゃんというのが健さんの実像じゃないかと僕も思います。石井輝男監督もそんな健さんの魅力をうまく活かしたのだと思います。
船堀映画祭は今日も開催。今日は松原智恵子さんがトーク・ゲストでいらっしゃいます。また、ハピイさんのイラスト・ポスターの展示もあるので是非おいでください!        (ジャッピー!編集長)
にほんブログ村 その他趣味ブログ 昭和レトロへ にほんブログ村
おもしろいと思ったら、クリックしてください!

同年同日、銀幕に登場!

昨日11月3日は小林旭さんのお誕生日。1938年のお生まれですから今年78歳です。旭さんと文太さんが電話でののしり合った「仁義なき戦い 頂上作戦」(1974 深作欣二監督)のとき、小林旭さんは35歳。一方、文太さんは1933年のお生まれですから旭さんより5歳上。旭さんのスター歴が長いので、「えっ?文太さんの方がそんなに上なの?」という印象を持つ人もいるかもしれませんね。
奇しくも、お二人の映画デビューは同じ年、同じ日なのです! 文太さんは東宝の「哀愁の街に霧が降る」(1956 日高繁明監督)、旭さんはダウンロード (14)uerutamashii
「飢える魂」(1956 川島雄三監督)で、両作とも1956年10月31日公開なのです!ともに脇役ですが、同じ日にスクリーンに登場したというこの偶然。
文太さんは1954年、劇団四季の第1期生として入団、いくつか端役で舞台を踏んでいるようですが、その流れで映画に出られたのでしょう。その後、モデルのアルバイトをしていて1958年に新東宝にスカウトされて入社します。同年の「白線秘密地帯」(1958 石井輝男監督)で新東宝初出演となります。
旭さんは元々子役をやっており、日活第3期ニューフェイスに合格して入社、順調に出演作を重ね、翌年には「幕末太陽傳」(1957 川島雄三監督)にも久坂玄瑞役で出ています。そして、このブログでも前に1959年の旭さんの大ブレイクについて書きました。(10月4日「旋風児と書いてマイト・ガイと読む」を参照) 「渡り鳥」、「銀座旋風児」のふたつのシリーズが始まり、マイト・ガイという愛称も定着し、一躍日活のローテーションの一角を守る大スターになっのです。
そして、その頃、菅原文太さんはどうしていたかというと、「海女の化物屋敷」(1959 曲谷守平監督)や「九十九本目の生娘」(1959 曲谷守平監督)といった作品に出ていました。無国籍アクション全盛の日活に対し、どうしたって、チープ感満載の新東宝の映画では文太さんの一般的知名度はあがりません。吉田輝雄さん、寺島達夫さん、高宮敬二さんと「ハンサム・タワーズ」と称して売り出されるも、新東宝自体が1961年に倒産。文太さんは松竹に移籍するもパッとせず、「血と掟」(1965 湯浅浪男監督)で出会った安藤昇さんの薦めで東映に移籍したのが1967年。何本か脇で出演作を重ね、2年後の「現代やくざ 与太者の掟」(1969 降籏康男監督)でようやく東映初主演を果たします。一方、旭さんはこの時点ですでに110本ほどの映画に出演、それもほとんどが主演、「渡り鳥」「銀座旋風児」のあとも「流れ者」「暴れん坊」「賭博師」「あいつ」「女の警察」などシリーズも作られ続けたのです。
同年同日に映画デビューしたお二人がそれぞれの軌跡を経て、「仁義なき戦い」シリーズで共演したと考えるとこの「頂上作戦」のラストシーンはまた感慨も深くなります。雪を含んだすきま風が吹く廊下で再会した広能と武田、徒労感漂う男たち。「もうワシらの時代も終いで……」 うーん、日本映画史上に残る名シーンです!
(ジャッピー!編集長)


にほんブログ村 その他趣味ブログ 昭和レトロへ にほんブログ村
おもしろいと思ったら、クリックしてください!

旭と文太のテレフォン・バトル

images (6)
11月になり、アメリカの大統領選挙も近づいてきました。それにしても、ヒラリー対トランプのテレビ討論会、ひどいものですね。政策論争なんてほとんどなく、ただお互いをののしり合うレベルの低さ、小学生以下ですね。
いい大人のののしり合いといえば、菅原文太と小林旭、「仁義なき戦い 頂上作戦」(1974 深作欣二監督)での話です。シリーズ第4作目の今作は、神戸をにらんでの代理戦争も過熱する中、うかつに手を出せな膠着状態に陥ります。そんな状況下、小林旭さん演じる武田明が、文太さん演じる広能昌三に電話をかけます。広能は「明か……仰山に構えちょって、ちいとも攻めてこんじゃないの、おう!」と挑発的に言うと、武田が「そっちこそ山守とる、とる言うてとれやせんじゃないか。打本はソッポ向いちょるし、明石組には見捨てられるし、しまらん話よのお」と切り返します。それに対して、広能は「おうおう、どうとでも言いないや。いよいよ動きがつかんけん、電話でカバチ垂れるしかないいじゃろうが、おう、クソ馬鹿たれ……」と返し、不毛なののしり合いが続きます。西日本を二分する勢力の局地戦の最中、それぞれ組を構える親分でありながら、こうして電話で悪口を言い合う様相、それを旭さんと文太さんという日本映画が誇る大スターが演じているという二重の意味で面白すぎるシーンであります。
でも、当人が必死になってもがいている姿っていうのは時にハタからみたら滑稽だったりします。これが人間の面白いところですな。ちょっと俯瞰で見れば、自分がくだらないことでグダグダやってるなあとわかるのに目の前を切り抜けることで精一杯になると見えなくなってしまうものですね。
このシリーズ4作目まで脚本を書いた笠原和夫さんも第3作「仁義なき戦い 代理戦争」(1973 深作欣二監督)以降のグチャグチャの盃外交、その内ゲバ模様の展開を如何に書くかに腐心され、「疑惑、ねたみ、恐怖、思惑、顔はニッコリ腹には一物といった男どもをいったいどうやったら映像として描き分けることが出来るのか、たとえ描き分けられたとしても、アクション一つあるわけでなし、下品に言うとオール・ズッコケ連中のズッコケ話でしかない」と語っておられます。彼ら全員のゴタゴタをスクリーンに放り出すことで、「人間喜劇」を見せようと思い立った笠原さん、よくもまあ、この複雑かつ壮大な人間曼荼羅図を完成させたものだと思います。とにかく、人生の色々な局面でためになるセリフが満載です。   (ジャッピー!編集長)
にほんブログ村 その他趣味ブログ 昭和レトロへ にほんブログ村
おもしろいと思ったら、クリックしてください!

日本の四季、その美しい瞬間を

ダウンロード (13)
このところ、急に気温が下がりましたね。天気予報によると、今日も師走なみの気温だそうです。ついこの前は
30度を超える真夏日があったのに、夏から冬に直行、もう体がついていけません。思い起こしてみると、今年、すっきり秋晴れの日ってありましたかね? 1日か2日あったかどうか……地球温暖化のせいか、日本の四季というものがすっかり崩れてしまいました。
僕のもっとも敬愛する映画監督のひとり、加藤泰がこんなことを語っています。「僕が生まれて育ったころは、まだ日本に春夏秋冬の四季の別がちゃんとありましてね。春には桜、初夏には藤の花、夏にはダリヤが咲き、秋には紅葉……雨ひとつにしましても、四季折々に違う雨がはっきりありましたね。それが人間の生活と密接に関連があり、その折々の人間の感情と深く関わり合っていた。それを僕は憶えているんです。非常に素敵なものだということを記憶としてこの頭に、この胸に、しまっているんですね」
そして、夏のものであったトマトやナスが一年中あって、どんどん不味くなっていることを嘆いています。本当にそうだなあと思います。その季節のものを食べることで、四季を感じ、自然の恵みに感謝する。日本人で良かったあと思う瞬間です。今や、どの季節にも同じものが並び、コンビニでは8月中に「おでん」や「肉まん」が登場し、冬にアイス食っている奴もいるような出鱈目な食習慣になってしまいました。
「…雨の降ってる風景が美しい。冬の雨は冷たいけど、素敵です。春の雨、これもしとしと降って素敵です。初夏の雨もいい。どしゃ降りの雨、これもいい。それから秋の雨、これもいい。冬の雪も僕は大好きなんだ。真っ白い雪がしんしんと降って、朝バッと起きて障子と戸を開けますと、あたり一面真っ白になっている。昨日と様相がガラッと一変して、そして美しい。……僕がお父っちゃんおっ母ちゃんにこの世に生んでもらって、小さな人間になって、ここまで育ってきた間に、この目でみた景色、この体で体験したいろいろな事柄、とても美しいあの瞬間、この瞬間、それを憶えているんです。活動写真で、僕が美しいと思ったものを何とか描こうと思って一所懸命になっているんです。」と語る加藤泰監督が撮った名作の数々が明後日4日(金)より、池袋、新文芸坐にて上映されます。題して「情念の奔流 ほとばしる映像美 生誕100年 加藤泰」! 
このまま温暖化が進んで、日本には寒いと暑いの二季しかなくなって、四季の風景は映画の中でしか出会えないものになってしまうのでしょうか……     (ジャッピー!編集長)
にほんブログ村 その他趣味ブログ 昭和レトロへ にほんブログ村
おもしろいと思ったら、クリックしてください!
昭和お宝品評会

NEW!!お宝をご紹介いただけるメンバーを募集中です!
投稿へのコメントもお待ちしております!

きたさん
1975年「空飛ぶ鯨」でデビューしたちゃんちゃこのメンバー。デビュー40周年を経て昭和の素敵な時代の歌や出来事を再発見
ジャッピー!編集長
映画雑誌「ジャッピー!」を主宰する編集長
映画や昭和歌謡に底知れぬ造詣を示す昭和博士
ハピイ氏橋
昭和のあれやこれやをイラストにして解説。
独自の目線で昭和の面白さを掘り起こすイラストレーター
記事検索
ギャラリー
  • 「人生ゲーム」と「上級国民」
  • 今も昔も国策の名のもとに……『ある町の高い煙突』
  • 今も昔も国策の名のもとに……『ある町の高い煙突』
  •  「落語家たちの戦争」8月12日12時~13時55分BSフジ放送
  • 小池一夫先生原作「エロス」と「ヴァイオレンス」
  • 横並び社会と「麻雀放浪記2020」のパンフレット
動画配信
上を向いて歩こう
関根忠郎の映画惹句術
看護婦さんの生活と信条
懐かしの昭和の物語 壱
懐かしの昭和の物語 弐
懐かしの昭和の物語 参
  • ライブドアブログ