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「野良猫ロック マシンアニマル」(1970 長谷部安春監督)の舞台は横浜。青山ミチさんが「恋のブルース」を唄うバーは、裏で密出国の船の斡旋をしています。ここに藤竜也さんと岡崎二朗さんの二人組が訪れ、スウェーデン行きの船の手配を頼みます。二人は米軍基地から横流しされたLSDを大量に持っていて、それを売りさばいて資金にしようと考えています。二人はベトナムからの脱走兵・チャーリーを連れていて彼を逃がすことも目的です。この作品の藤さんはヒゲはなく、銀縁のメガネをかけた非暴力・平和主義的な青年で、それまで長谷部監督が撮った「女番長 野良猫ロック」(1970)、「野良猫ロック セックスハンター」(1970)とはガラッと変わったソフトな役柄です。(こういう所が出演者が固定したシリーズの面白いところですね。次はどんな役柄なんだろうと)
代わりにヒロイン・マヤ(梶芽衣子さん)のグループに敵対するのが郷鍈治さんで、「ドラゴン」という暴走バイク集団のリーダーでいつもサイドカーにふんぞり返り、悪の存在感をたっぷり発揮します。はじめはLSDを奪おうとしたマヤのグループですが、脱走兵を助けようという藤さんたちに共鳴し協力します。LSDをさばくために郷さんたちに話を持っていきますが、横取りされてしまい争奪戦になります。チャーリーを拉致した郷さんのサイドカーを追って、マヤたちがミニ・バイクに乗って「近道を行けば追いつく」と、パチンコ屋さんや中華飯店の中を「ごめんなさいよ~」と言いながらバイクで疾走するシーンが見ものです。 1作目の「女番長 野良猫ロック」での新宿地下道のバギーとバイクの追走シーンを思い出させます。(当ブログ2月27日「地下道のカー・チェイス」参照)
郷さんは自分が昔ケガをさせたため車椅子に乗っている范文雀さんを女王のように崇拝しており、マヤたちは青山ミチさんからそのことを教えられ、范さんを誘拐してLSDを取り返そうとします。この范さんが住む部屋にはいつもバロック音楽みたいのが流れていて、壁、カーテン、ソファ全て紫色で、范さん自身も紫のドレス、ひざ掛けという恰好ですから、いやでも印象に残ります。
3人はマヤが案内してくれた廃屋に隠れ、仲間になったマヤたちとLSDを1錠ずつ飲んで盛り上がります。フェイス・ペインティングしたり、サイケな幻想シーンです。藤さんと梶さんだけはLSDをやらず、離れた所で静かに話します。藤さんの役名は「ノボ」でこれは「ノーボディ」をもじったものと説明されます。何で外国に行くのか、マヤに問われたノボが「さあな、日本にいるよりマシかもしれないと思ってな。行ってどうなるかわからないけどな」と答えます。続けて「何でここにいるんだい?」と逆に聞かれたマヤは「行けるところがあったら行ったかもしれない」と言います。このあたりの閉塞状況からの放浪願望、ベトナム脱走兵、バイカーとこれはもっともアメリカン・ニューシネマに近づいた日本映画といえると思います。        (ジャッピー!編集長)
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