昨日の当ブログで紹介した「黒の試走車」(1962 増村保造監督)に始まった大映の「黒」シリーズは、企業の熾烈な競争とそこで暗躍し翻弄される人間模様がサスペンスフルに描かれ面白いのです。宇津井健さんや川崎敬三さんの主演作もありましたが、やはり田宮さんがこのシリーズのカラーに一番合っていたと思います。ビシッとスーツを着こなし、ダンディという言葉がこれほど似合う俳優もいませんし、時に野心家であったり、一匹狼であったり、企業の中でドライに戦っていくといったキャラに田宮さんはピッタリです。大映を解雇されてから、テレビのクイズ番組「タイム・ショック」の司会をなさって、冒頭で「現代は時間との戦いです」という決め台詞を言っていましたが、「黒」シリーズはまさに「現代」の中でクールに戦う男という感じがしたのです。
「黒の試走車」のあと、しばらく宇津井さん、川崎さんの主演作が続きますが、第6作に田宮さんの主演作が登場します。「黒の駐車場」(1963 弓削太郎監督)です。僕が大好きな作品です。田宮さんの役は、元は暴力バーのバーテンをしていたチンピラで、客で来た製薬会社の部長・見明凡太朗さんを脅そうとして逆に説諭され改心、見明さんに拾われ、今は小さな製薬会社を営んでいます。そういう過去もあってか、田宮さんの部下となる社員には、警察のご厄介になりそうな若者、顔にアザのある女子事務員、片腕がない社員、長年大手に勤めていたがポイされた老社員(松村達雄さん)などが集まっています。世間からハミ出たり、ワケありの人たちが集まっていますが、その分、アット・ホームでまとまりのあるチームになっていて、その辺の描写もいいのです。研究者肌の社員(仲村隆さん)が新薬を開発して順調ですが、田宮さんの恩人の見明さんが自殺するという事件が起きます。不審に思った田宮さんが探っていくと、新薬をめぐる製薬業界の陰謀が浮かび上がる……というストーリーです。実直そのものに見えた松村さんが新薬のデータを大手の会社に流していたりという意外な展開もあったりして最後まで飽きさせません。
そして、田宮さんに協力して真相を探る女記者を演じるのが、藤由紀子さんです。
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1965年に田宮さんと結婚しますが、交際はこの「黒の駐車場」の共演あたりから始まったようです。「黒の駐車場」のラストは、無事に事件が解決し、田宮さんと藤さんが歩いているシーンです。藤さんが「この人たち、みんな踏みつぶされまいと必死なのね」と言うと、「そうさ」と田宮さん。藤さんが「でも、あなたは勝ったのね」と言うと、田宮さんは「ああ、これからゴマンと金が入る」と言い、「ねえ、君、一生僕にたかる気はない?」と続けます。藤さんが「……OKよ」とうなづき、田宮さんが藤さんの肩を抱き寄せ歩いていきます。このラストシーンの笑顔が本当に良くて、実生活の愛情が反映しているのかなあと思います。同時に、自ら命を絶ち藤さんをおいていってしまうことになる行く末を悲しく思ってしまいます。      (ジャッピー!編集長)
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