今日の朝ドラ「ひよっこ」で、みね子(有村架純さん)たちが勤める「向島電機」の倒産が発表されました。ドラマは現在、昭和40年11月という時期になっており、前年1964年(昭和39年)の東京オリンピックの好景気の反動で、ガクッと不況になったのが背景としてあります。今、2020年の東京オリンピックを見越して、ホテルをガンガン建てたり、いろいろ盛り上がっている(?)企業もあるようですが、オリンピックが終わったあとの反動がコワいですね。ちゃんと、その辺を考えているのでしょうか。
「ひよっこ」でみね子たちの仕事は、トランジスタ・ラジオの製造ですが、「キューポラのある街で」(1962 浦山桐郎監督)で、吉永小百合さん演じるジュンが中学を出て、夜間高校に行きながら勤めることになるのも、たしかラジオの工場だったような記憶があります。_SX940_
ジュンが就職前に工場見学して、当時では近代的に見える工場に驚くシーンがあったかと思います。この映画は、まさに東京オリンピックの前ですから、工場生産も右肩上がりでガンガン伸びていた頃ですね。そんな風にオリンピックを契機に高度経済成長の波にのった日本ですが、急激な変化は当然歪みを生み出します。この「キューポラのある街」でいえば、小さな鋳物工場(「キューポラ」というのは銑鉄炉のことです)の集まった街に大企業が進出してきて統合しようとします。おかげで、ジュンのお父さん(東野英次郎さん)のような、ベテランの職人はクビになって仕事を失います。東野さんは荒れてすっかり飲んだくれてしまいます。コンビニやチェーン店が増殖して昔からの個人商店が姿を消していく現在によく似た構図です。
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働き手を失い、ジュンは修学旅行も行けないし、高校進学も難しくなってしまいます。(それで、前述したように定時制に通いながら工場で働くことになるのです) ジュンの役は会社の意向で吉永さんに決まったのですが、この作品が監督デビュー作となる浦山監督は、それまで今村昌平作品の助監督で忙しかったので吉永さん(すでに20本以上の映画に出ていた)のことを知らなかったそうです。それで、ともかく吉永さんと会ってみると、お嬢さんぽいので、まず「貧乏というのはどういうことか考えてごらん」と言ったそうです。
浦山さんの危惧に反して、吉永さんは熱演。クランクイン直前に盲腸炎で入院、病み上がりだったのですが根性を見せ、粘ることで有名な浦山監督の演出に見事に応えたのです。僕は特に「サユリスト」というわけではないですが、たしかにこの映画の吉永さんは、ジュンという役を生きているというか、キューポラのある街に生きるジュンの息遣いまで聞こえてくるように感じられました。
あと、ジュンの弟(市川好朗さん)image003 (1)
の朝鮮人の友だち・三吉が帰国運動で北朝鮮に帰るシーンがあります。あれから55年、三吉ももう70歳近いですが、今も彼の地で暮らしているのでしょうか。あの時、祖国の生活を夢見て北へ帰った人々は元気で暮らしているのでしょうか。今日もミサイルが発射されましたが、そんなことも考えてしまいました。     (ジャッピー!編集長)
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