「女番長 野良猫ロック」(1970 長谷部安春監督)に登場し、ギターを弾きながら「カンドレ・マンドレ」を歌ったホリプロ所属の「アンドレ・カンドレ」さんは全く売れませんでした。当時、ラジオ局まわりなどをすると、よく「あなたは、アンドレさん? カンドレさんは来ないの?」と聞かれたそうです。

「アンドレ」と「カンドレ」の2人組と思われていたわけです。それぐらい知られていなかったわけです。そのファースト・シングル「カンドレ・マンドレ」のバックをつとめたのは「六文銭」、アレンジは小室等さんでした。続いて小室さんのアレンジで2枚目のシングルも出しますが不発。3枚目は陽水さんのオリジナルではなく、作詞・松山猛さん、作曲・加藤和彦さんという「帰ってきたヨッパライ」のコンビの「花にさえ、鳥にさえ」という曲を出します。レコード会社(CBSソニー)も何とか売ろうと力を入れていたのだと思います。

しかし、やはり売れなくてポリドールに移籍、ここで「井上陽水」として再出発します。1972年ファースト・アルバム「断絶」を発表しますから、「女番長 野良猫ロック」から2年経っていました。この「断絶」のバックにモップスの三幸太郎さん、スズキ幹治さん(ヒロミツさんの弟)が参加、そして星勝さんがアレンジを担当します。あらためて「断絶」を聴いてみると、アコースティックなフォークという曲もある一方、ストリングスが入っていたり、サイケの匂いがする演奏、ちょっと歌謡曲ぽいもの……とアレンジが凝っています。陽水さんのヴォーカルも、タイトル曲の「断絶」なんかちょっとパンクな感じがして、フォークからロックまでクロスしたヴァラエティーに富んだアルバムです。
星勝さんのアレンジを得た陽水さんのその後の活躍はご承知の通りです。
「断絶」が出た1972年、モップスは「モップスと16人の仲間」というアルバムを発表します。これに陽水さんが「窓をあけろ」という曲を提供しています。

アルバム・タイトルどおり、他に忌野清志郎さん(まだアコースティック主体のRCの頃です)、杉田二郎さん、小室等さん、泉谷しげるさんなどが曲を提供しています。そしてアルバムA面1曲目をかざったのが、吉田拓郎さんの「たどりついたらいつも雨降り」であります。つまり当時フォークに分類されるミュージシャンの曲を取り上げ、ロックに変換するという画期的なアルバムです。(陽水さん、小室さん、泉谷さん、拓郎さんと、この後「フォーライフ・レコード」を立ち上げた4人が勢ぞろいしています!)結果的に、フォークとかロックというジャンルを超えた新たなポップスの道標になったように思います。
ちなみに、モップスには久世光彦さんに詞を書いてもらった曲でヤマハのポプコンでグランプリを獲ったことがあるので、「悪魔のようなあいつ」の三億円強奪シーンにモップスの「たどりついたらいつも雨降り」が流れるのは、久世さんの意向があったのかもしれません。 (ジャッピー!編集長)
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「アンドレ」と「カンドレ」の2人組と思われていたわけです。それぐらい知られていなかったわけです。そのファースト・シングル「カンドレ・マンドレ」のバックをつとめたのは「六文銭」、アレンジは小室等さんでした。続いて小室さんのアレンジで2枚目のシングルも出しますが不発。3枚目は陽水さんのオリジナルではなく、作詞・松山猛さん、作曲・加藤和彦さんという「帰ってきたヨッパライ」のコンビの「花にさえ、鳥にさえ」という曲を出します。レコード会社(CBSソニー)も何とか売ろうと力を入れていたのだと思います。

しかし、やはり売れなくてポリドールに移籍、ここで「井上陽水」として再出発します。1972年ファースト・アルバム「断絶」を発表しますから、「女番長 野良猫ロック」から2年経っていました。この「断絶」のバックにモップスの三幸太郎さん、スズキ幹治さん(ヒロミツさんの弟)が参加、そして星勝さんがアレンジを担当します。あらためて「断絶」を聴いてみると、アコースティックなフォークという曲もある一方、ストリングスが入っていたり、サイケの匂いがする演奏、ちょっと歌謡曲ぽいもの……とアレンジが凝っています。陽水さんのヴォーカルも、タイトル曲の「断絶」なんかちょっとパンクな感じがして、フォークからロックまでクロスしたヴァラエティーに富んだアルバムです。
星勝さんのアレンジを得た陽水さんのその後の活躍はご承知の通りです。

「断絶」が出た1972年、モップスは「モップスと16人の仲間」というアルバムを発表します。これに陽水さんが「窓をあけろ」という曲を提供しています。

アルバム・タイトルどおり、他に忌野清志郎さん(まだアコースティック主体のRCの頃です)、杉田二郎さん、小室等さん、泉谷しげるさんなどが曲を提供しています。そしてアルバムA面1曲目をかざったのが、吉田拓郎さんの「たどりついたらいつも雨降り」であります。つまり当時フォークに分類されるミュージシャンの曲を取り上げ、ロックに変換するという画期的なアルバムです。(陽水さん、小室さん、泉谷さん、拓郎さんと、この後「フォーライフ・レコード」を立ち上げた4人が勢ぞろいしています!)結果的に、フォークとかロックというジャンルを超えた新たなポップスの道標になったように思います。
ちなみに、モップスには久世光彦さんに詞を書いてもらった曲でヤマハのポプコンでグランプリを獲ったことがあるので、「悪魔のようなあいつ」の三億円強奪シーンにモップスの「たどりついたらいつも雨降り」が流れるのは、久世さんの意向があったのかもしれません。 (ジャッピー!編集長)

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