ジャンヌ・モローさんの29歳のときの出演作「死刑台のエレベーター」(1957 ルイ・マル監督)は、ルイ・マル監督のデビュー作でもあります。何と、このときルイ・マルさんは25歳! その瑞々しい感性がシャープな映像を作り上げています。モローさんにとっても代表作になりました。冒頭でモローさんがあの独特の声で、「ジュテーム、ジュテーム……」と囁く公衆電話のシーンから引き込まれます。
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モローさんと愛人関係にあるモーリス・ロネさんが、モローさんの夫を殺害します。社長室で殺害し逃げようとしますが、証拠を残してしまったことに気づき引き返します。しかし運悪くエレベーターが停まってしまい閉じ込められてしまいます。
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ウィークエンドなのでビルの電源は落ちてしまい月曜にならないとエレベーターは作動しないのです。その間にロネさんの車が不良のカップルに盗まれて……完全犯罪のはずが思わぬことで破たんする過程がサスペンスフルに描かれます。ロネさんと落ち合うはずが連絡がつかず、モローさんが夜のパリを彷徨い歩くシーンが素晴らしい! 大都会の夜の風景を捉えた映像というとまずこの映画が頭に浮かびます。
この映画は後年、日本でリメイクされています。「死刑台のエレベーター」(2010 緒方明監督)です。
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モローさんの役が吉瀬美智子さん、ロネさんの役が阿部寛さんでした。他に玉山鉄二さん、北川景子さんが出ていました。話の肝になる「閉じ込められ」を、エレベーターがしっかりコンピュータ制御されている時代にどう処理するかと思ったら、たしかそういう非常用装備がない古いビルという設定で乗り切っていたと思います。さらに当然、阿部さんは吉瀬さんと携帯電話で連絡できるという問題は古いビルのエレベーターで「圏外」という風にしていたかなあ。ともかく、携帯が普及し当たり前のようになったことで、多くの作品が「現代」に置き換えてのリメイクが不可能になりましたね。「時代劇」のように、携帯登場以前の「昭和劇」というジャンルが必要かもしれません。
サスペンスものだけでなく、「君の名は」(1953~1954 大庭秀雄監督)みたいな「すれ違い」メロドラマも成立しませんね。「愛染かつら」(1938~1939 野村浩将監督)なんかでも携帯で「子どもが急病で……」と一言伝えていれば、もつれなかったわけです。携帯電話の普及で便利になったのと引き換えに「ドラマ」は生まれにくくなりました。(ジャッピー!編集長)
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