昨日の当ブログで紹介した「若い狼」(1961 恩地日出夫監督)で、少年院あがりの主人公を演じた夏木陽介さんは、初期の頃はこういったワルっぽい役が多かったように思います。初主演の「青春白書 大人には分らない」(1958 須川栄三監督)も反抗的な青年役でしたが、大学生でバンドをやったりバイクを乗り回したりというキャラクターで、ブルジョワのお坊ちゃんという感じで「太陽族」的でした。「若い狼」は貧しい境遇の不良少年でしたが、やはりどこか品があり純朴さがありました。そういうところが後に「先生」役にフィットしたと思います。
一方、このとき星由里子さん、16歳。当ブログ6月21日に書いたように、1958年の東宝「ミス・シンデレラ娘」コンテストで優勝、翌年「すずかけの散歩道」(1959 堀川弘通監督)でデビューしました。司葉子さん、森雅之さん主演のこの映画で助監督をつとめたのが恩地さん。恩地さんは子役の面倒を見る係で、毎日粘り強く演技指導をしたのです。その子役の中にまだ13歳の星さんがいたのです。ちなみに、他の子役に、その年に「愛と希望の街」(1959 大島渚監督)に出演する富永ユキさんもいました。そして「若い狼」のときは高校生になった星さんを起用し、星さんは精華学園女子高校の制服のまま撮影所に通っていました。
makoto32102000-img600x428-1295088973fmlyea68918

この映画では恋人役の夏木陽介さんと星さんのキス・シーンがあるのですが、星さんは「本当に唇を合わせなくてもいいような撮り方ができませんか」と恩地監督に頼んでいました。当時の16歳といえばまだまだ純情な頃ですから気持ちは分かります。しかし、数日後、監督室で星さんが恩地さんを待っていました。そして、星さんは思い切ったように「いいんです。私、決心しました」と一言、そのとき恩地さんを見つめる目にじわっと涙がにじんでいたそうです。恩地さんもかつて一から演技指導した13歳の少女だった星さんがすごい決意でしたことに感激、頭を下げて部屋を出ていこうとする星さんの肩を抱きしめたい衝動を抑えながら「がんばれよ!」と言ったのでした。一方、恩地監督は夏木さんには「本番では、勢いで本当にキスしてくれ」と指示を出していました。そのキス・シーンは本番一発OK、星さんはカットがかかって、また涙を流したのだそうです。こうした星さんに、のちの「千曲川絶唱」(1967 豊田四郎監督)や「颱風とざくろ」(1967 須川栄三監督)で見せた女優魂の萌芽を感じますね。  (ジャッピー!編集長)
にほんブログ村 その他趣味ブログ 昭和レトロへ にほんブログ村
おもしろいと思ったら、クリックしてください!