昨日の当ブログで書いたように、星由里子さんが初めてのキス・シーンで涙を流した「若い狼」(1961 恩地日出夫監督)ですが、「勝手にしやがれ」(1959 ジャン=リュック・ゴダール監督)などヌーヴェルヴァーグの影響を受けたのでしょう、ロケを多用して隠し撮りを駆使していました。映画の後半に夏木陽介さんが中学校時代の恩師(小栗一也さん)が入院している病院にお見舞いに行くくだりで新宿が映し出されます。ミラノ座(もう無くなってしまいました……)の前や、伊勢丹の屋上などが登場します。今みたいに背の高いビルがないので広々と見渡せるのです。通りには都電も走っていて、今と比べるとかなりノンビリした感じです。
夏木陽介さんの出演作で、このように昔の東京の風景が楽しめるのが「秋立ちぬ」(1960 成瀬巳喜男監督)です。
ダウンロードaki
上映時間79分という小品ながら、味わい深い作品で僕の超フェイバリットであります。田舎から出てきた少年(大沢健三郎さん)が、母(乙羽信子さん)が料亭に勤めるので親戚の八百屋にあずけられるのですが、この八百屋があるのが銀座。今ではこういう個人商店を見かけることのない銀座、家も物干し台があったり、昭和の作りです。劇中の季節は夏で、夏木さん演じる八百屋の息子がちょっと涼みに行こうと、イトコの大沢くんをバイクの後ろに乗っけて高速を走るシーンがありました。ent1801190011-p2
この時代、庶民の家にはクーラーなんてありませんでしたから、こうして涼をとっていたわけです。このシーンを思い出したのが、20年ぐらい前かなあ、僕がヴェトナム旅行したときです。ホテルのまわりの道はバイクがたくさん走っていて、ガイドの人に聞いたら「涼むためにただ走っているんですよ」ということだったのです。どこに行くということもなく、回遊魚のようにバイクでぐるぐる走って涼んでいたのです。当時のヴェトナムは高級ホテルが建っていて、インフラも進んでいる一方、長屋みたいな地区もあって「普請中」の国という感じでした。「秋立ちぬ」の東京オリンピック以前の東京の雰囲気もこうだったのかなあと想像しました。
a0091515_634031
また、カブト虫を探したいという大沢少年のために、夏木さん(実に気のいい兄貴分という役がピッタリでした)がやはりバイクに乗せて、多摩川に連れて行きます。そして、夏木さん「暑いなあ」と、服を脱いで川に入って泳ぐのです!ごく普通の行動のようで、まわりは田園風景だし、この「東京」の風景にも今から見ると信じられません。
(ジャッピー!編集長)
にほんブログ村 その他趣味ブログ 昭和レトロへ にほんブログ村
おもしろいと思ったら、クリックしてください!