昨日の当ブログで取り上げた「SUNNY 強い気持ち・強い愛」(2018 大根仁監督)が「コギャル」「ガングロ」「アムラー」などが街にあふれていた1990年代の日本を過去パートとしていたのに対し、オリジナルの「サニー 永遠の仲間たち」(2011 カン・ヒョンチョル監督)は1980年代後半を時代背景にしています。この時代を選んだのは、その当時、韓国では軍事政権の独裁に「ノー」を突きつける民主化運動が起きたことが関係していると思います。韓国の国民だったら「あの時代は……」と共通の記憶を持ちやすいエポックな時代だったからです。名も無き人たちが立ち上がり、民主化を成し遂げたという思いが多くの人に刻まれていると思います。この映画の中にもデモのシーンがあり、感動しました。
少し前に、同じく当時の民主化運動、デモを描いた映画を観ました。「1987、ある闘いの真実」(2017  チャン・ジュナン監督)です。
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学生が警察の取り調べ中に拷問されて死に至ります。警察権力はそれを隠蔽しようと、遺体を検死解剖もせずにすぐに火葬にしようとします。この事件をきっかけに権力の弾圧、横暴に対し、学生、市民たちから批難の声が起こり、やがてそれはバトンのように国民の間につなぎ渡され、大きな運動になっていくのです。そういった当時の動きを、何人かのドラマが絡んでいき、社会派であり、サスペンス風味あり、恋愛ドラマの要素もありと見事な群像劇となっております。特に、政治に何の関心もなかった女の子がイケメンの大学生に惹かれたことを契機に民主化に意識的になっていくところは「いちご白書」(1970 スチュアート・ハグマン監督)を思い出させました。(「いちご白書」とは男女が逆ですが)ダウンロードitigoi
 
ひとりひとりの人間の息づかいがちゃんと感じられる演出、そして娯楽性もちゃんとあるのがすごいです。僕はそれほど韓国映画に詳しいわけではないですが、そんな僕でも知っているスター俳優たちが次々に登場します。火葬の許可を出さない真っ当な検事にハ・ジョンウさん、悪玉にキム・ユンソクさん、イケメン学生にカン・ドンウォンさん、女子大生・ヨニにキム・テリさん(可愛い!)など、他にソル・ギョングさんなども出ていてまさにオールスターです。
ラスト、ついに民主化運動が大きなうねりになるシーンは感涙です。僕が観に行ったときも、劇場ではすすり泣く声がそこかしこから聞こえてきました。

日本版リメイク「SUNNY 強い気持ち・強い愛」は「コギャル」の時代に設定してリメイクでしたが、これは致し方ないかもしれません。日本でそういった共有記憶の「運動」といったら、「60年安保」まで遡らなければなりませんから。100歩譲って「全共闘」?いや、やはりそれも違うなあ。ともかく日本国民が声をあげなくなって久しいわけです。そういえば、夏に山田洋次監督が新文芸坐のトークショーにいらして、ちょうど東京医科大の不正入試のニュースがあったときだったので、それに触れ「これは全国の大学でデモが起こってもおかしくないことだ。今の学生はどうなっているのか」と嘆いておられていたのを思い出しました。
(ジャッピー!編集長)
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