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10月27日に江波杏子さんが76歳で亡くなりました。直前まで仕事をなさっていたといいますし、僕も今年「娼年」(2018 三浦大輔監督)という映画で、主演の松坂桃李さんと「濡れ場」を演じている江波さんを観て、その色気にゾクッとしたばかりなので、残念でなりません。
江波杏子さんは、戦前の女優・江波和子さんの娘です。江波和子さんは1938年東宝でデビューしましたがわずか2年足らずで引退されましたから活躍の期間は長くありません。引退から2年後、杏子さんを産みます。女優時代の江波和子さんの写真を見ると、本当に杏子さんにそっくりだなあと思います。ダウンロードkazuko
(←正しくは杏子さんの方が母親に似ているわけですが) そして杏子さんが5歳のときに、和子さんは27歳という若さで亡くなってしまいます。
母と同じく女優になりたいと、杏子さんは大映のニューフェイスに合格します。このとき杏子さんは16歳でしたが、18歳とサバを読んで応募しました。サバを読むというと、普通は「若く」偽るものですが、杏子さんは「子供っぽくない」自分の魅力を判っていたのでしょう。たしかに、デビュー当時の杏子さんを見ると、大人びた雰囲気でとても10代には見えません。2008_01_24_013syuku
お母さんの「江波」は、当時人気の石坂洋次郎さんの「若い人」のヒロイン「江波恵子」からとられており、「杏子」は室生犀星さんの「杏っ子」からとり「江波杏子」が誕生します。小説に由来する芸名の通り、杏子さんは大変な読書好きで知られ、澁澤龍彦さんなど好んでいたそうです。
しばらくは脇役や準ヒロインといった役が続いていた杏子さんがブレイクしたのは、ご存じ「女賭博師」シリーズです。
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当初、主演として予定されていた若尾文子さんが自宅のお風呂場で転倒、ケガをして降板、杏子さんに主役がまわってきたというのは有名なエピソードですが、実際は若尾さんが出演を渋ったと言われています。若尾さんは川本三郎さんとの対談で、「来た話でお断りになったものは?」と訊かれ「どうしてもやりやくない役はあります。それがなかなか通らない場合は一日入院するんです(笑)偽の診断書を書いてもらう。大映という会社はそうしない限り無理」と答えたことがあります。作品名はあげてませんが「女賭博師」のことじゃないかなと思います。第1作「女の賭場」(1966 田中重雄監督)は東映の「緋牡丹博徒」第1作(1968 山下耕作監督)より早いですからね、すでに大映の看板女優になっていた若尾さんにしたら「キワモノ」に思えたとしても無理はありません。
ともかく、それで杏子さんに主役の座がまわってきてピタリとはまり、以後17作も作られる人気シリーズとなったのです。若尾さんの降板がなかったら、杏子さんのキャリアはまた違ったものになったかもしれません。
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後年、杏子さんは自身「博奕」は嫌いだとおっしゃっているし、必ずしも好きな役だったわけではないと思いますが当たり役となりました。当時、映画のキャンペーンでキャバレーで「女賭博師ショー」などあって、杏子さんも「昇り龍のお銀」の衣装をつけて出ていたそうです。ある日、大きなキャバレーでスポットライトを浴び、盛大な拍手を受け登場、一歩踏み出した直後、足を滑らせてスッテンコロリン。それでもすぐに起き上がり、顔色一つ変えずに堂々と芝居を続けたそうです。観ていた大映関係者も「何て度胸のすわった子なんだ」と舌をまいたといいます。
クールな美貌と演技力で楽しませてくれた江波杏子さんのご冥福を心よりお祈りいたします。
(ジャッピー!編集長)

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