一昨日の当ブログで書いたように、先日の「第10回船堀映画祭」で追悼上映があった沢島忠監督は、昨年の「第9回船堀映画祭」には車椅子で駆けつけられました。「第7回船堀映画祭」のときもゲストでいらっしゃいました。
そのとき上映されたのが「おかしな奴」(1963 沢島忠監督)です。
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敗戦後、焼跡の日本に笑いをふりまいた「三遊亭歌笑」さんの生涯を描いた作品で、歌笑を演じたのは渥美清さんです。落語家目指して上京し、金楽師匠に拾ってもらい修業に励みますが、なかなか上達しません。ライバルのとん楽(春風亭柳朝さん)にも水をあけられます。そんな不器用な歌笑に渥美さんがピッタリです。落ちこぼれの歌笑を励ましてくれるのが、師匠の家の女中さん「ひさ」です。何とか弟子になれたときに我がことのように喜んでくれた「ひさ」を演じた三田佳子さんの純情可憐さは特筆ものです!
「ひさ」は許婚と結婚することになって田舎に去っていきます。「私が初めてもらったお給金で買った本なの。持っててくださいね」と石川啄木の詩集をくれます。落ち込む歌笑ですが、落語修業に励みます。しかし、戦争が激しくなり、世間は落語どころじゃない殺伐としてきます。落語家仲間のししゃも(佐藤慶さん)は赤紙が来て絶望し、高座の終わったあとに首を吊って自殺してしまいます。この佐藤慶さんはいつもの憎々しい悪役や大島渚作品の屈折した役とは一転、気の弱い純情青年で好演でした!(何でも佐藤さん自身、落語が大好きで学生時代は「落研」だったそうでノッていたそうです)
戦後、焼跡となった日本、ラジオで流される落語が人気を博します。皆、笑いを求めていたのです。そんな中、歌笑は「ひさ」さんにもらった「啄木詩集」をヒントに「歌笑・純情詩集」というネタで人気者になります。
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ある日、焼跡を歩いていた歌笑は浮浪児に財布をすられ、追いかけていくとパンパンたちに取り囲まれ身ぐるみはがされそうになります。そのパンパンたちの一人が何と「ひさ」! 結婚した夫はすぐに出征し戦死、「ひさ」は娼婦になってしまっていたのです。女中時代の「ふさ」があまりに可憐だったのでこの変貌ぶりには劇中の歌笑と同様、観ている僕も驚いてしまいました!201510052301431c4
 歌笑は「ウチに来てくれ。あんなにオレを励ましてくれたひさちゃんのためなら……」と言いますが、「ふさ」は「私一人を救っても日本中のパンパンを救えるわけじゃないし……」と言い、近々米兵と一緒にアメリカに行くと告げます。そして「あなたはこの焼跡のアイドルだもの。今まで通り精一杯皆を笑わせてくれればいいの」と言います。あとのシーンで歌笑が「誰がひさちゃんをアメリカにやっちゃったんだ‼」と慟哭しますが、普通に生きていた人の運命を狂わせ、不幸にする戦争への憎しみがこみあげます。
歌笑は交通事故で32歳で亡くなります。そのとき歌笑が手に持っていたのが、真打ちに昇進したときに「ひさ」が贈ってくれた虫メガネ(歌笑はひどい近眼でした)だったのも泣かせます。渥美さんの好演もあって良い映画でした。渥美清さんと沢島忠監督のコラボ作品をもっと観たかったです。
(ジャッピー!編集長)

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