4日の当ブログで取り上げた「エリック・クラプトン~12小節の人生~」(2017 リリ・フィニー・ザナック監督)は、エリックさんがジョージ・ハリスンさんの妻・パティさんへの抑えられない思慕から生まれた「いとしのレイラ」のエピソードが当事者、周囲の人々の証言を交えて綴られます。(ジョージさんの肉声はありません) 後半は、ようやく平穏な暮らしになったかと思った矢先に、息子のコナー君がホテルの53階から転落、亡くなってしまう悲劇に見舞われ、そこから名曲「ティアーズ・イン・ヘヴン」が書かれたことが語られます。幼い息子の死で深い悲しみに陥りますが、今度はヘロインやアルコールに逃げず、「これからはコナーのことを思い続けながら生きていく」と前向きに曲を作り、グラミー賞に輝きます。
という風に、主に「いとしのレイラ」「ティアーズ・イン・ヘヴン」の2曲の誕生をエリックさんの私生活の側面にからめて描いたドキュメンタリー映画です。しかし、そういったスキャンダラスな部分、プライベート以外にも見どころがあります。幼い頃、絵ばかり描いていたという内気なエリックさんはアートスクールに進みます。彼が描いたスケッチが次々に映し出されますがなかなか上手くて目を見張ります。やがて、テレビの子供番組で流れていた音楽から、黒人音楽に魅せられます。ギターに夢中になり、クラブに出入りするようになりミュージシャンへの第一歩を踏み出しますが、その頃にはローリング・ストーンズの面々と知り合っていたそうです。「ヤードバーズ」に加入し、当時人気絶頂のビートルズのクリスマス・ショーに出演(このときジョージさんと知り合います)、ビートルマニアの女の子たちの歓声に「ジョージなんていい演奏してるのに聴いてない」ことに腹を立てます。そんなエリックさんですから、主にブルース系の曲を演奏していた「ヤードバーズ」が「フォー・ユア・ラヴ」でポップ路線に走り、メンバーが「ビートルズ」風に髪を伸ばし始めたことを軽蔑し脱退。このとき髪も短かったエリックさんも後にはロン毛になりますけどね……。「ブルース」を追求しようと「ジョン・メイオールとブルース・ブレイカーズ」に加わりますが、今度はメンバーにも知らせず勝手にバンドを組んでしまいます。それが「クリーム」で「ロックにブルース、ジャズを融合したい」というのが動機ですが、一世を風靡したスーパー・トリオの爆音演奏シーンはやっぱり迫力あります。しかし人間関係は最悪で「クリーム」は解散。次に結成した「ブラインド・フェイス」のハイドパーク野外コンサートでスティーヴ・ウィンウッドさんが熱唱するシーンも貴重です。当時のロンドンを歩く若者のファッションも楽しめます。
また、ジミ・ヘンドリックスさん(肉声もあり)の死を聞いて「一日中、泣き通し、何で僕を連れていってくれなかったんだ……」と語るなど、他のアーティストとの交流もいろいろ出てきます。個人的には、アレサ・フランクリンさんとのレコーディング(当ブログ2018年10月21日をご参照ください)のエピソードが印象に残りました。
「ブラインド・フェイス」解散後、ジョージさんのソロ・アルバム「オール・シングス・マスト・パス」参加メンバーから「デレク&ドミノス」が結成され「レイラ」へ……。以後、レゲエに接近した「461オーシャン・ブールヴァ―ド」以降「ジャーニーマン」あたりまでは「アル中の最中だったから聴きたくもない」と一括りにされていましたが、ブルースからサイケ、スワンプ、レゲエ……まさに「生きるロック史」だなあと思いました。登場したジョージ・ハリスンさん、ジョン・レノンさん、ジミ・ヘンドリックスさん、デュアン・オールマンん、アレサさん、ブライアン・ジョーンズさん……多くの人が亡くなった中、こうして生き残っていることだけでもスゴイことだと思います。
(ジャッピー!編集長)


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