昨年11月23日に映画監督のニコラス・ローグさんが亡くなりました。90歳です。映画界でのキャリアは長く、戦後すぐ映写技師から映画会社に入り、編集見習いなど下積みを10年近くつとめ、撮影担当となります。「アラビアのロレンス」(1962 デヴィッド・リーン監督)の撮影(フレディ・ヤングさんと共同)など大作から、「華氏451」(1966 フランソワ・トリュフォー監督)など多くの作品に関わりました。その後、監督となり、僕のように1970年代に映画にどっぷりハマった世代にとっては忘れられない一人です。最初に観たのは「美しき冒険旅行」(1971 ニコラス・ローグ監督)で、オーストラリアの砂漠のような土地を姉弟が彷徨い歩くというものです。当時読んでいた「ロードショー」誌にジェニー・アガタ―さんが全裸で水浴びするシーンがあると書いてあったので、それ目当て(スケベ心丸出し)に観に行きましたが、当時はかなりボカシが入っていました……。しかし、ちょっと文明批判みたいな視点があり、何よりローグさん自身の撮影の映像が、乾いた空気や水の質感まで感じさせるようで強く印象に残りました。ずっともう一度観たいと思っていたところ、のち新宿高島屋の中にできた「テアトル・タイムズスクエア」という映画館でリバイバル上映があり、駆け付けました。今度は「WALKABOUT 美しき冒険旅行 」と原題付きのタイトルとなり、「完全版」! そう、もうヘア・ヌードも当たり前の時代になっていたのです。ともかく、一生観れないと思えた「完全版」を観れて、あらためてこの映画がカメラが捉えた「自然」の美しさを堪能したのです。すでにスケベ心もない冷静?な視線で見ても、この大自然の中で「ボカシ」を入れることの方が「いやらしい」と感じました。
ちなみに、この「テアトル・タイムズスクエア」はスタジアム型の座席で巨大なスクリーンでいい映画館でしたが閉館してしまい残念。
この撮影時、ジェニー・アガタ―さん16歳、本当に瑞々しく美しかったなあ!(弟を演じたのがニコラス・ローグ監督の実の息子で当時7歳)撮影には4か月もかけたといい、撮影前、ジェニーさんは監督からシドニー・ノーランさんが描いた「奥地」という絵画を見せられイメージを与えられたといいます。のちにアート・ガーファンクルさん主演で撮った「ジェラシー」(1979 ニコラス・ローグ監督)はクリムトさんの絵画をモチーフにしていたし、さすがカメラマン出身の監督らしい画作りです。また、デヴィッド・ボウイさんが美しい宇宙人を演じた「地球に落ちてきた男」(1976 ニコラス・ローグ監督)を観たとき、干からびた星の風景が「美しい冒険旅行」の荒涼とした砂漠地帯を彷彿させましたし、「美しき冒険旅行」にはローグ監督の原点があるように思います。
その映像美で魅了したニコラス・ローグ監督のご冥福を心よりお祈りいたします。
明日1月19日、池袋の新文芸坐にて1日かぎりのニコラス・ローグ監督追悼上映があります。「WALKABOUT 美しき冒険旅行」と「地球に落ちてきた男」の2本立てです。お時間ある方は是非、大きなスクリーンでご覧ください。 (ジャッピー!編集長)
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