この前の日曜日、大河ドラマ「いだてん」を観ていたら、ビートたけしさん演じる「古今亭志ん生」師匠が昼間から酒を飲もうとしているのを咎められて「これは『芝浜』の稽古してるんだ」と言い訳している場面がありました。「芝浜」は、酒飲んでばっかりの魚屋が大金の入った財布を拾って有頂天になり長屋の連中を集めてドンちゃん騒ぎ。翌朝、おかみさんから「金を拾ったなんて夢みたんだろ。どうすんだい、こんなに散財しちゃって」と言われ、魚屋は「そうかなあ……」といぶかりながらも心を入れ替えたように働き始め、やがて暮らしも安定します。すると、おかみさん、「財布を拾ったというのは本当だったんだよ」と告白、ぐうたらな亭主を立ち直らせるための嘘だったという夫婦の人情噺です。
この落語を映画化したのが「江戸っ子繫盛記」(1961 マキノ雅弘監督)です。主演の中村錦之助さんの江戸っ子の口跡が気持ちよく、まさに適役でした。この映画の面白いところは「芝浜」のストーリーに「番町皿屋敷」の話を入れこんでいるところで、錦之助さんの夢枕に妹のお菊(小林千登勢さん)が現れ、旗本の家に奉公しているお菊が大事なお皿を割ってお手討にされたことを知る……と、「夢」をモチーフに落語と怪談をミックスした語り口が絶品でした。
山手線の新駅の名称が「高輪ゲートウェイ」という訳の分からないものになりましたが、公募の結果は1位「高輪」、2位「芝浦」、3位「芝浜」だったとのこと。「高輪ゲートウェイ」は130位だったそうですが、その決定の理由が「世界中から企業や人材が集う国際交流の拠点として……」と説明されていました。要は外国の方々も多くなるからということなんでしょうが、ならば、なおのこと、「芝浜」なんて駅名の方がいいんじゃないですかね。その由来を説明することで外国からいらした人とコミュニケーションのきっかけになるし、「落語」に興味を持ってもらえるかもしれません。「寄席」に行くには日本語力が足りないという方には、「江戸っ子繫盛記」に英語字幕でもつけて観てもらうとか、日本文化を知ってもらう起点になる可能性があるのにと思います。それが「高輪ゲートウェイ」だもんなあ、横文字(カタカナ)入れりゃ「国際的」とでも思ってんのかねえ、まったく粋じゃないですね。
(ジャッピー!編集長)
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