昨日2月1日、「映画サービスデイ」ということで、「サイドマン:スターを輝かせた男たち」(2016 スコット・ローゼンバウム監督)を観てきました。「サイドマン」とは何かというと、「フロントマン」であるスター歌手のバックバンドで演奏し、そのサウンドを支えた人のことです。こういった方たちは楽器の腕前は一流ですが、よほどのファンでないとその名前を知らないでしょう。このドキュメンタリーはそういう、いわば「裏方」にスポットを当てたところが素晴らしいです。多くのミュージシャンがこの3人の演奏技術を説明し、その音楽的な貢献について証言しますが、その中にもあった「ブルースがなかったら、ロックは生まれてこなかった。彼らがいたからこそ、私たちが今ここに存在しているんだ」という言葉の通り、本当に先人たちへのリスペクトに溢れています。そして、この映画の作り手の音楽愛が感じられる一本です。
取り上げられるのは、ハウリン・ウルフさん、マディ・ウォーターズさんといったブルースの大御所のバックをつとめたピアニストのパイントップ・パーキンスさん、ドラムスのウィリー"ビッグ・アイズ"スミスさん、ギターのヒューバート・サムリンさんの3人です。奇しくも2011年、同じ年に相次いで亡くなりましたが、生前の彼らの語る回想は南部のプランテーションで綿花を積んだり、貧困と黒人蔑視の中での辛い労働、そこから何とか抜け出すために音楽で這い上がってきた点で、まさに労働歌であった「ブルース」の出自そのものです。この回想を「アニメ」も駆使しているところは新機軸です。特にウルフさんが終生、本当の子どものように接したヒューバート・サムリンさん、そのお二人の出会いのエピソードが素晴らしい! まさに天が与えてくれたような出会いがヒューバートさんの運命を大きく動かしたわけです。(←詳しくは映画を観てください)
3人のサイドマンも「彼は凄かった」と評価するジミ・ヘンドリックスさんのギターもヒューバートさんの奏法に影響されているとか、映画「ブルース・ブラザーズ」(1980 ジョン・ランディス監督)に当初キャスティングされていたマディ・ウォーターズさんが風邪ひいてしまいジョン・リー・フッカーさんが代役をつとめたが、バックはそのままマディさんのバンドが演奏をつとめたというエピソードも語られました。中では、ボニー・レイットさんの「作曲者やリードシンガーが音楽を作るんじゃないわ。バンドみんなで作るのよ」という言葉が印象的でした。
亡くなる直前、パイントップさんとウィリーさんは「初」のグラミー賞を受賞します。長年の「裏方」活動に光が当たったお二人の披露する感謝のスピーチが良かったです! また、ヒューバートさんは「ブルースは次世代に受け継いでいかないと。時代とともに変化も必要だが、私たちだけでは変化できないから」と語り、開設した「ギター・スクール」?が映画の終わりに出てきます。ここはかつて働いていた「プランテーション」跡に建てられており、そこでギターを練習する10代の若者たちは「その3人には会ったことはないんだけど、何か繋がりを感じるんだ」と語っていて、確実に「ブルース」の歴史が受け継がれていることを示します。
幾多の困難を乗り越えた3人のサイドマンたちがとにかく良い顔しているんです! 僕が昨日この映画を観た「K's シネマ」はかつて「新宿昭和館」があった場所。この映画館で観た数々の任侠映画、またそれを見つめていた観客たち……昭和の男たちの良い顔に何か重なりました。(ジャッピー!編集長)

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