当ブログで、このところ「エリック・クラプトン~12小節の人生~」(2017 リリ・フィニー・ザナック監督)や「サイドマン:スターを輝かせた男たち」(2016 スコット・ローゼンバウム監督)のことを書いていますが、先週もう1本1960年代のアーカイヴ的な映画を観ました。「マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!」(2017 デイヴィッド・バッティ監督)です。
この作品は名優のマイケル・ケインさんがプロデューサーの一人に名を連ねており、かつ、ナビゲーターとして登場して1960年代のイギリス、主に「ロンドン」に起こった音楽、映画、ファッションなど新しい文化の波を振り返ります。面白いのは、現在の初老のケインさんが語り、1960年代、そのケインさんの若い頃の映像が挟み込まれ、時代を自由に行ったり来たりするような構成です。若き日のケインさん(オシャレでイケメン!)の映像は、当時の「若者」としてテレビのインタビューに答えたものや、主演作「アルフィー」(1966 ルイス・ギルバート監督)などから切り取って、一種の「コラージュ」なんですか、編集が絶妙なのです。
子どもの頃から「俳優」になりたかったケインさんですが、家が「労働者階級」でコックニー訛りのため無理と思われていました。その当時は、まさに英国ならではの「階級社会」の呪縛が厳しい時代だったのです。ケインさんは「自分たちの親の世代は子どもをミッキーマウスのように扱い、まるで人間扱いしていなかった」と語るほどです。しかし、ケインさんたちの世代はそんな「退屈」な社会に否を唱え、自分たちの文化を生み出していきます。ここで大きかったのが、アメリカに登場したエルヴィス・プレスリーさんです。映画の中で、ザ・フーのロジャー・ドールトリーさんが「人生で初めて誰かを観て『自由』だと思った」と回想していますから、保守的なイギリスを本当に揺るがす衝撃だったのでしょう。ケインさんが演劇を続け、初めて映画で大役をつかんだのが「ズール戦争」(1964 サイ・エンドフィールド監督)ですが、これも監督がアメリカ人で「階級」に頓着しなかったので起用されたと語っています。このように、ケインさんの俳優としてのキャリアと英国の若者たちの自由への希求が重なります。「アメリカ」という他国から持ち込まれた「自由」が階級の壁をぶち破り、「ビートルズ」など、まさに「労働者階級」から新しい価値観、文化が生まれたのです。映画の中でポール・マッカートニーさんが「ようやく世界が才能ある労働者階級の存在に気がついたってわけさ。革命だったね」と語るのが印象に残りました。当ブログ2月2日に書いたように、「ブルース」が虐げられた黒人たちから生まれたように、「階級」や「伝統」といった強い束縛があったから反発する「文化」が堰を切ったにあふれ出したのかもしれません。そういう意味では「壁」が厚いほど、高いエネルギーを有したカウンターカルチャーが現れ、打ち破るのでしょう。
他にも、ジョン・レノンさん、マリアンヌ・フェイスフルさん、ドノヴァンさん、ジュリー・クリスティーさん、写真家のデイヴィッド・ベイリーさん、デザイナーのメアリー・クヮントさん、モデルのツィギーさん……など1960年代のアイコンたちが続々と登場します。(ツィギーさんをインタビューしているのがウディ・アレンさんだったりして) もちろん当時の音楽がバンバンかかりますが、その曲の使い方もハマっています。 タイトルにもなっている「マイ・ジェネレーション」(ザ・フー)はもちろん、クリームの「アイ・フィール・フリー」やビートルズの「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」なんて実にうまく使っていました!
タイムマシンがあったら、この時代の「ロンドン」に行ってみたいと思わせる作品でした。これは、映像のタイムカプセルです! (ジャッピー!編集長)
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