今年の1月29日に作家の橋本治さんが亡くなりました。70歳というのは若すぎます。1968年、東大闘争時の「駒場祭」のポスター「とめてくれるなおっかさん 背中の銀杏が泣いている 男東大どこへ行く」で有名になった橋本さんですが、訃報を伝える記事を見たら、喪主がお母さんになっていました。70歳の橋本さんのお母さんですから相当なお歳と思いますが、息子を送る気持ちを思うと胸がつまります。
橋本治さんといえば、映画好きにとっては「桃尻娘 ピンク・ヒップ・ガール」(1978 小原宏裕監督)です。僕ももちろん観に行きました。このところ、当ブログで「日活ロマンポルノ」の話題を書いていますが、「桃尻娘」もその1本でしたがゴールデンウイーク公開の大作?扱いだったと記憶しています。描写もライトな感じで、普段の客層と違う若者をターゲットにしてヒットしました。たぶん今観たら、「これがポルノ?」と拍子抜けすると思います。今だったら「一般映画」でしょう。ヒロインを演じた竹田かほりさん、亜湖さんのコンビもよく、カラッと明るい青春映画になっていました。原作者の橋本さんもチラッと出ておられました。
ヒットを受けてシリーズ化され、このコンビで全3作が作られました。「桃尻娘 ラブアタック」(1979 小原宏裕監督)、「桃尻娘 プロポーズ大作戦」(1980 小原宏裕監督)と観て面白かったので、すぐに原作を読みました。「観てから読む」とどうしてもそうなりますが、竹田さん&亜湖さんのイメージで読むことになりましたが、同級生でゲイの高校生・木川田くん(オカマの源ちゃん)が原作と映画ではヴィジュアル・イメージが違うので、それはそれで面白かったです。女子高生の口語、文体で書かれた小説は映画以上にポップで、それまでの読書体験にないものだったので新鮮な驚きがありました。スラスラ読めてしまったので、次々に続篇(「その後の仁義なき桃尻娘」「帰って来た桃尻娘」「無花果少年と瓜売小僧」「無花果少年と桃尻娘」)を読み、5作全部読み終えた頃には、映画にはならなかったストーリー、エピソードをたっぷりしみ込んで、登場人物が何だか知り合いのように思えました。ポップな文体は変わらないのですが、読み進めていくとだんだん何だか妙な寂寥感を感じた印象があり、一種の大河青春小説の形をとって「時代」の雰囲気が濃厚に漂っていたのでしょう。その寂寥感はその「時代」がまとっていたのかもしれません。その当時の固有名詞もたっぷり登場するので、今読めば、その「時代」の一種のカタログとしても興味深いかもしれません。
そういえば、たまたま昨年、橋本治さんの書かれた「草薙の剣」という小説を読み、これはスゴイと感銘を受けたのですが、昭和~現代にいたるクロニクルを世代ごとに描いていて、あとになって思えば、橋本さんは死を予感してこの集大成的な作品を残されたのかなあと思ってしまいます。そして、「平成」という時代が終焉となる年に亡くなる……まさに「時代」とともにあった方だったという符合のように。数々の著作で時代を描破されてきた橋本治さんのご冥福を心よりお祈りいたします。 (ジャッピー!編集長)
にほんブログ村 その他趣味ブログ 昭和レトロへ にほんブログ村
おもしろいと思ったら、クリックしてください!