昨日の当ブログで、「日本暗殺秘録」(1969 中島貞夫監督)のことを触れました。この映画の中ではじめ純情な娘で登場した藤純子さんが、主人公の千葉真一さんに再会すると「デタラメな世の中だもの、デタラメに生きなきゃ損だわ」なんて頽廃した表情で言うのが衝撃でした。アベ政権のデタラメがまかり通って不正や捏造が当たり前になってしまった今の日本を表すように感じました。
この「日本暗殺秘録」はオムニバス映画ですが、ほとんどこの千葉真一さん主演の「血盟団事件」がほとんどを占め、その前後にいろいろなテロ場面が散りばめられているという変わった構成です。そうした5分やそこらのパートに高倉健さんや菅原文太さん、若山富三郎さん、鶴田浩二さんなど錚々たるスターが出ているのですから豪華です。その中に高橋長英さんがテロリスト・古田大次郎を演じたパートがありました。「ギロチン社事件」です。
その「ギロチン社」を描いた映画が昨年公開された「菊とギロチン」(2018 瀬々敬久監督)です。僕は昨年夏、封切られてすぐに観て思い出したのが「日本暗殺秘録」でした。たしか、中島貞夫監督は実は「ギロチン社」の古田に一番魅かれて、彼を主人公に一本作りたかったそうですが、すぐ捕まってしまい映画的に見せ場が作れないと断念したそうです。その古田大次郎ら「ギロチン社」を描くにあたって、瀬々監督は「女相撲」の話を加えました。これがうまい!と思いましたね。「女相撲」は明治ぐらいに山形の興行主から始まったらしいのですが、実際に「ギロチン社」と出会った記録はないようですが、「この二つを出会わせたら……」という瀬々監督の発想がスゴイです!
中島監督は古田について「ロマンティズム」だけでテロに走ったところが幼稚であり魅力的なところと語っていますが、「女相撲」の面々も(もう少し現実的ながら)「夢」に突き動かされている点では共通するのです。だから、「ギロチン社」と「女相撲」という一見、異種なふたつが交錯し見事な青春群像編になっていました。「希望が持てないんなら、自分の好きなことを思い切りやりたい!」と言う場面がありました。ほとんどの女力士が家出同然なんですが、そのひとり(山田真歩さん)が官憲に連れ去られていくシーンです。彼女は周りから「あれ、女好きだから気をつけなよ」と言われますから今でいうLGBTなのかもしれません。そういったマイノリティに対する眼差しも含めて、この大正時代を舞台にした映画が見事に「現代」に繋がる映画になっているのです。瀬々監督はトークショーで「30年あたためていた企画」とおっしゃっていて長いご苦労があったようですが、「締め付けの強い」空気が濃厚に漂う今こそ作られるべくして作られた映画ともいえるとも思います。 (ジャッピー!編集長)
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