一昨日の当ブログで、昨今の洋画は原題尊重主義なのか、気の利いた邦題をつけたものが少ないなんてことを書きましたが、先日、いい邦題の作品を観ました。「運び屋」(2018 クリント・イーストウッド監督)です。原題は"The Mule"なので「運び屋」は直訳ですが、muleには「頑固者」という意味もあるので原題はダブル・ミーニングかもしれませんが、久々にストレートな邦題でかえって新鮮です。昨日の当ブログでも書いたように1970年代あたりは「突破口!」(1973 ドン・シーゲル監督)や「破壊!」(1973 ピーター・ハイアムズ監督)のようなシンプルでワクワクさせるような邦題がありました。90年代に入ってからも、イーストウッドさんの作品で「目撃」(1997 クリント・イーストウッド監督)なんて邦題もありました。原題"Absolute Power"をそのまま「アブソリュート・パワー」なんてしないでよかったです。また、直訳すれば「絶対権力」といったところでしょうが、「目撃」とした方が内容もパッと分かるしいいですね。イーストウッド作品には「昭和」感覚が合うのです。
イーストウッドさんが監督作は毎年のように公開されていますが、今回の「運び屋」、久々に主演もこなした作品です。88歳のイーストウッドさんが演じるのは、90歳の麻薬の「運び屋」役で、ここ最近のイーストウッド作品同様、実話に着想を得ています。自分の好きな仕事のことばっかりで、家庭を顧みなかった男・アールが老境に至り、ふとしたきっかけから「運び屋」になってしまうのです。劇中、アールの「仕事」を奪った「インターネット」への呪詛が何回か発せられます。タイヤ交換もできない若者に「何でもインターネットで調べるからダメなんだ」とか。相変わらず「坊や、大人の言うことは聞くもんだぜ」という感じのイーストウッドらしさですが、自分を追ってきた刑事(ブラッドリー・クーパーさん)に説教かます場面では「記念日を忘れるな。家庭は一番大事」と言うのです。劇中のアールが自分に言い聞かせるような台詞ですが、何だかイーストウッドさん自身の人生の反省というか贖罪のようにも聞こえます。
監督も俳優もこなして突っ走ってきたイーストウッドさん、一方では市長をやったり、私生活では女性関係のゴタゴタも多かったので家庭もいろいろあったでしょう。そんなイーストウッドさんご自身の来し方が重なるのです。先程あげた「目撃」でも主人公は娘(ローラ・リニーさん)と疎遠だったり、「トゥルー・クライム」(1999 クリント・イーストウッド監督)でも女にだらしなく家庭を顧みない主人公だったり、今までの作品でもモチーフになっていますが。この「運び屋」では「父親とは12年間、話していない」という娘役に実の娘・アリソン・イーストウッドさんを配したのも意味がありそうです。
といったことを考えながら観終わると、「黄昏」(1981 マーク・ライデル監督)を思い出したのでした。「黄昏」(←これもシンプル邦題だ!)では、長年、私生活で反目していた父・ヘンリー・フォンダさんと娘・ジェーン・フォンダさんが共演、和解したのでした。そして、この作品でヘンリーさんは見事にアカデミー賞主演男優賞を獲得。歴代最高齢受賞となりましたが、クリント・イーストウッドさんには是非、この記録を更新してもらいたいものです! (ジャッピー!編集長)
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