昨日の当ブログ「追悼・織本順吉さん 深作映画で見せた名演」で書きましたが、織本さんは東映の実録路線でによく出演されてました。出てくれば、それなりの地位にあるけれど、虚勢をはった小心な親分や幹部だなということが分かるので、観客にとっては織本さんのキャラクターが安定していたということです。そういう意味では、「仁義なき戦い」(1973 深作欣二監督)で山守親分を演じた金子信雄さんの域に達しています。当たり役となった「山守義雄」のスケベで狡猾な、人物像のイメージが定着し、他の映画に出ても金子さんのやる役のキャラクターは説明不要という感じですよね。
同じ新劇出身の金子さん同様に、織本さんが出てくれば気が弱く、うろたえる人だろうなと予想できるのです。日本復帰直前の沖縄を舞台にした「沖縄やくざ戦争」(1976 中島貞夫監督)でも、織本さんの役は「沖縄連合」の理事長という地位にある人物なんです。本土のヤクザの進攻を阻止するために団結した組織のトップなんですが、千葉真一さん演じる狂犬のようなヤクザが、本土のヤクザの挑発にのって襲撃すると、途端にオロオロし始めます。ああ、やっぱり織本さん演じる役だなあと安心?したものです。
また、ヤクザ役ではないですが、東映で演じた印象的な役では「トラック野郎 爆走一番星」(1975 鈴木則文監督)があります。あべ静江さん演じるマドンナが太宰治好きなので、桃さん(菅原文太さん)さっそく「ダザイ? あれは美味いですよね」と勘違いを炸裂させるなど爆笑のシリーズ2作目ですが、当然フラれます。傷心のままトラックを転がしているときに遭遇する中年の「当たり屋」が織本さん。出稼ぎに出たものの「金がなくて帰れんばい……」と情けなく言う織本さんを桃さんは怒鳴りつけます。桃さんは長崎で幼い姉弟と知り合いになっていて「除夜の鐘を一緒に聴くんだってあの子たちは待ってるんだぞ!」と一喝。トラックに乗せて長崎に爆走します。「母ちゃんのいないのは寂しいもんだぜ。せめて父ちゃんが傍にいてやれよ」と織本さんにお金を握らせます。桃さんの優しさに落涙必至のシーンですが、泣きながら「すみません、すみません……」という織本さん、その弱く情けない表情と演技あってこその名場面といえます。本当に、織本順吉さんには「新宿昭和館」や「浅草名画座」のスクリーンでよく出会いました。  (ジャッピー!編集長)
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