3月18日に亡くなった織本順吉さんについて、一昨日、昨日と当ブログに書きましたが、もちろん織本さんは東映実録ヤクザ映画だけの方ではありません。文芸もの、社会派、さまざまな映画に出演され、脇役で味のある演技を見せています。
新聞で織本さんの訃報が報じられたとき、プロフィール欄を見ると「1949年、新協劇団に入団。1954年に退団し、岡田英次や西村晃らと劇団青俳を結成……」とあり、「映画デビューは『美わしき歳月』」と書いてありました。えっ?と思いました。僕は「美わしき歳月」(1955 小林正樹監督)は僕も観ています。(当ブログ2016年10月30日「世界で一番アホな街」にも書いています)たしかに織本さんは出ておられて、佐田啓二さん、木村功さんと友人役で皆で歩くシーンもありました。それはいいんですが、この「美わしき歳月」以前にも織本さんは映画に出ていると思います。
はっきり覚えているのは「女ひとり大地を行く」(1953 亀井文夫監督)です。北海道の炭坑が舞台で、夫(宇野重吉さん)が行方不明になってしまった妻(山田五十鈴さん)が二人の子どもを抱えて、炭坑で働く感動の物語です。戦前からの大女優、山田五十鈴さんが実際に炭坑に住み込んで撮影にのぞんだことでもしられます。男だらけの中、力仕事をして一所懸命に育てた子どもが成長、長男を演じるのが織本順吉さんです。次男が内藤武敏さんで真面目な人で組合運動に熱心で恋人(岸旗江さん)もいます。織本さんの方は「弟は学校にも行かせてもらってるのに、長男のオレはいつも犠牲になってる」とひがみ、「俺が稼いだ金だ! 俺が使うんだ」と勝手に家を出て、北林谷栄さんの娘と駆け落ちし、アパートで崩れた生活をしていて、あげくは反組合側のスパイに成り下がってしまいます。やはり、この初期の作品でも、織本さんは気持ちが弱く、流されやすい人物を演じていました! 後年、ヤクザ映画で気弱な小心者を多く演じた織本さんの原点を見る思いでした。最後は改心しますが、その頃には長年、炭坑で体を酷使した母は病気が悪化してしまいます。「あなたにあずかった子どもを何とか育ててきましたよ……」という五十鈴さんの言葉に落涙を禁じ得ません。
「女ひとり大地を行く」はこれだけ主要な役をやっているし、たしか「億万長者」(1954 市川崑監督)にも議員かなにかの役で出ていました。それなのに1955年が映画初出演とか書く新聞ってあきれるなあ。僕だって気づくのに。亡くなった方に敬意をもって、ちゃんと調べたりしてほしいですね。  (ジャッピー!編集長)

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