一昨日、昨日の当ブログで書いたように、カンフー・ブームにのって空手映画を製作した東映に石橋雅史さんは欠かせない役者になりました。ほとんどが、千葉真一さん、志穂美悦子さん主演映画の敵役でしたが、良い人物も演じています。印象的だったのが「極悪拳法」(1974 小沢茂弘監督)です。
「極悪拳法」の主演は渡瀬恒彦さん。渡瀬さんも空手二段の腕前で、東映俳優の中でも喧嘩最強と言われていました。時代は第一次世界大戦勃発直前の頃、軍の情報を敵国に売る密偵が横行しているので、スパイ狩りのため、愛国団体が猛者たちを召集します。渡瀬さんも大暴れしているところをこの団体のボス(大木実さん)に拾われます。この猛者グループのリーダーが石橋雅史さんで、空手の達人であるのはもちろん、落ち着きのある人格者で渡瀬さんもリスペクトしています。石橋さんは足の悪い子どもがいて、大木実さんに入院費を出してもらっています。渡瀬さんは繁華街に出て、聞き込みを行い密偵を始末していきます。このとき引き連れるのが、沢村忠さんとガッツ石松さんです。単なる「顔見世」特別出演ではなく、けっこう台詞も言います。沢村さんは渡瀬さんを気に入り、「俺はあんたを気に入ったから兄弟と呼ばせてもらうぜ!」と言ったり、ガッツさんは童貞という設定で、女郎屋に連れていかれ逃げ出したり……。むしろ特別出演ぽいのは、この女郎屋のシーンで客に扮した山城新伍さんと
曽根晴美さんで、新伍さんが「この奥目!」とけなすと、曽根さんが「俺が奥目だったら、お前はデタラメだ!」と応酬する(アドリブ?)が笑えました。
こうして渡瀬さんたちの活躍でスパイを倒していきますが、実は情報を売っていた黒幕は大木実さんで、それが発覚しそうになると渡瀬さんを抹殺しようとします。大木さんに「借り」のある石橋さんが刺客となって渡瀬さんと対決することになってしまいます。壮絶な死闘の果て、石橋さんを殺す結果になる渡瀬さんは慟哭します。ラスト、大木さんに向かって「何がお国のためだ! お前のせいで鷲見さん(←石橋さんの役名)は死んだんだ!」と言うのは、大のためには小を犠牲にしても構わないという国家、権力の非情へのアンチがこめられているようです。冒頭、初めて大木さんに会ったときに渡瀬さんが「この前の日露戦争でたんまり儲けたってのはあんたかい?」という台詞もありました。いつの世も戦争を起こす奴は金を貯め込みふんぞり返り、貧しい者が利用されるのです。
最強俳優、キックの鬼、世界チャンピオン、そして極真空手の師範代・石橋雅史さんが登場する活劇には、そんな反権力テーマが底流にあったのです。 (ジャッピー!編集長)

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