当ブログ4月8日「『太陽にほえろ!』から『傷だらけの天使』へ」で書いたように、「傷だらけの天使」の萩原健一さん演じる「木暮修」の弟分、「乾亨」役は、はじめ火野正平さんが予定されていました。ところが大河ドラマ「国盗り物語」の秀吉役でブレイクした火野さんのスケジュールがとれません。ショーケンはこの作品にかけて全面的にスケジュールを空けているのに対して、火野さんは週に2日しかとれない過密スケジュールだったそうです。それでやむなく代役を探すことになります。「ショーケンと火野さんのコンビだからCM契約をしたのに」とスポンサーからクレームがついたそうです。(このことはプロデューサーの磯野理さんの著書「東宝見聞録」に詳しく書いてあります)代役候補には湯原昌幸さんの名前もあがったそうです。同じ日本テレビの「金曜10時!うわさのチャンネル」で活躍していたこともあるでしょう。ところが、やはりイメージが違うということで、ショーケンが推薦したのが水谷豊さんです。「太陽にほえろ!」第1話にゲスト出演、マカロニ刑事(ショーケン)が初めて逮捕する犯人を演じた水谷さんのひたむきさが強く印象に残っていたのだそうです。
水谷豊さんはそれまで手塚治虫さん原作の「バンパイヤ」(1968~69)のトッペイ役で主演はあったものの、大人になってからは脇役が多く、レギュラー出演はありませんでした。「役者を辞めよう」と思い悩んでいたところに「傷だらけの天使」の話が来て、「辞めるのはこれをやってから考えよう」と出演したのだそうです。磯野プロデューサーも水谷豊さんの起用には相当の覚悟がいることだったと回想しちます。
役者生活、背水の陣でのぞんだ「乾亨」役、髪の毛にポマードをべったり塗りたくってロカビリー全盛期に流行った髪型にスカジャン、皮ジャンというスタイルはショーケンの提案です。ショーケンと水谷さんの呼吸はピタリと合い、二人からアイデアが湯水のように出たそうです。ショーケンが「真夜中のカーボーイ」(1969 ジョン・シュレシンジャ―監督)をイメージしたコンビは大成功。「太陽にほえろ!」の(はみ出し者とはいえ)刑事役から「傷だらけの天使」のアウトローになったショーケンとは逆に、「傷だらけの天使」のあと「夜明けの刑事」で(体制側の)刑事役が決まっていた水谷さんは不安を口にしますが、ショーケンは励ましたそうです。その後の水谷さんの活躍は言うまでもありません。
ずっとのちに松田優作さんの葬儀で久しぶりに水谷さんに再会したとき、ショーケンは「もう一度『傷だらけの天使』をやろうよ」と声をかけ、それはずっと心にあったようです。恐喝未遂事件で有罪判決を受けたあと、具体的にプロットも考え、水谷さんも大いに乗って実現寸前までいったそうですが、トラブルを怖れたのかスポンサーが降りてしまったのでした。ショーケンの夢は実現しませんでしたが、一方、水谷豊さんは「相棒」で国民的な俳優となり、「TAP ‐ THE LAST SHOW」(2017 水谷豊監督)で監督デビュー、今度のゴールデンウイーク明けには脚本も手掛けた「轢き逃げ -最高の最悪の日ー」(2019 水谷豊監督)が公開されるなど、順調にキャリアを積み上げています。亡くなるまで自分で映画を撮る企画を持ち続けたショーケンの分まで頑張ってほしいです。(ジャッピー!編集長)
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