今年の1月31日に、元「噂の眞相」編集長の岡留安則さんが亡くなりました。まだ71歳ですから残念です。1979年創刊の「噂の眞相」、僕は毎号買っていたというコアな読者ではありませんでしたが、興味深い記事があると読んでいました。ザラザラした紙質が、誌面のちょっと怪しい感じにピッタリでした。のちに岡留さんの回想を読んでみると、戦前の「カストリ雑誌」のイメージを意識して、わざとあの紙を使っていたそうです。そもそも誌名の「噂の眞相」は、梶山季之さんが発行していた“マスコミ・文壇ゴシップ誌”「噂」と、戦後すぐの1946年(昭和21年)に創刊された「眞相」のタイトルに由来しています。「眞相」は戦後、乱立したカストリ雑誌の中でももっとも過激なもので、最後は政治家たちに「集団名誉棄損訴訟」を起こされ潰された雑誌です。その精神を引き継いでいるのが、あの紙質にあらわれていたのです。実際は、チープに見えるザラ紙の方が、普通の雑誌が使っていた上質紙より高かったそうですから、いかに拘っていたかが分かります。
軍部による言論統制が解けて、エネルギーを一気に爆発させた「カストリ雑誌」さながら、徹底して権威、権力に対してアンチの姿勢で斬りこんだ雑誌でした。「人はこれをスキャンダル雑誌という」というキャッチフレーズ通り、政界、財界、芸能界に至るまで容赦なく暴露していきました。岡留さんは元々、学生運動をやっていましたが、その頃、多くの一般市民は「関係ないよ」という感じで、自分たちの「運動」が一般社会からは浮いていると感じていたそうです。そこで、自分が市民社会に出ていって亀裂を入れようと思ったそうです。ジャーナリストとして活字で火をすけて、刺激をを与えようと思ったのです。「国家」をターゲットにするというポリシーは当然ですが、芸能人の不倫などのスキャンダルについても、歌手や俳優も公的なメディアを使ってファンに影響力を与えている“権威”という捉え方です。「芸能マスコミで虚像を作られて有名になり、グッズなども売れる。そういう部分では自分の方から宣伝してプライバシーを売っておきながら、都合の悪いことは書かせないという芸能プロの姿勢はおかしい」という発言もしています。とにかく、徹底していて全くブレずに25年間、「噂の眞相」を編集、発行してきたのですからスゴイ! その一貫した姿勢は尊敬に値します。
岡留さんのモットーは「体制が変わろうが、政権が変わろうが、権力は信用できない。常に疑っていないと騙される」というものです。メディア、ジャーナリズムの基本です。ところが今や、メディアは腰が引け、テレビをつけても御用文化人がでかいツラする気持ち悪い社会になってしまいました。
「噂の眞相」休刊後は沖縄に移住していて、そこが終の土地となりました。辺野古の新基地建設など、今も「権力」に蹂躙される地で、口だけ「真摯に受け止め」という独裁政権に憤っていたそうですから、71歳での死去は無念です。岡留安則さんのご冥福を心よりお祈りいたします。
(ジャッピー!編集長)

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