先週、新作映画『初恋 お父さん、チビがいなくなりました』(2019 小林聖太郎監督)を観に行きました。原作の漫画は読んだことがありませんが、前に観て良かった『娚(おとこ)の一生』(2014 廣木隆一監督)と同じ原作者(西炯子さん) だし、  同じ監督の小林聖太郎さんは前に松坂桃李さん主演の『マエストロ!』(2015 小林聖太郎監督)が良かったし、脚本の本調有香さんも『人のセックスを笑うな』(2008 井口奈巳監督)などいい作品を書いているので、作り手にこれだけ信頼できる人が集まっているならと観に行きました。
そして、もう一つ、昨年5月16日に亡くなった星由里子さんが出演なさっていて、遺作ということもあります。ストーリーは、藤竜也さんと倍賞千恵子さん演じる夫婦が、倍賞さんの可愛がっている猫がいなくなってしまったことを切っ掛けに夫婦のズレを感じたり、お互いを見つめ直すというものです。藤さんが扮する夫はリタイヤして今は「相談役」みたいな感じで会社には週2回行く程度、ほとんど近所の「将棋クラブ」で時間を過ごしています。口数は少なく、帰宅すると靴下も妻に脱がせてもらうような典型的な「昭和」の亭主関白オヤジです。倍賞さんはこれまた「昭和」の奥さんという感じでかいがいしく世話をしてきましたが、猫がいなくなっても心配もしてくれない夫に呆れます。「私と同じ気持ちになってほしいのよ!」という言葉が印象的です。藤さんがこっそり星由里子さんと会っていたことが発覚したり、家出して娘(市川実日子さん)の所にころがりこんだり小さい騒動が起こりますが、最後はまあ穏やかにおさまります。タイトルに「初恋」と付け加えられていることもポイントですね。令和に登場した「小津安二郎映画」といった味わいのとても良い映画でした。
星由里子さんと倍賞さんは、若い頃、国鉄の駅のミルクスタンドで働いていた同僚で、そこに毎朝決まった時間に寄っていたのが若き日の藤さんという設定です。忙しそうにビン牛乳のフタをとるシーンで「ふたあけ」が活躍します。当ブログの第一回にcocorinさんが書かれた2015年11月12日「牛乳瓶のふたあけ」を是非、ご参照ください。
星さんは藤さんと密会?といっても、カフェみたいな所で談笑するだけで、座っているシーンだけです。もしかしたら、星さんはお具合が悪かったのかもしれません。出番も少ないながら、変わらぬ美しさですし、印象に残る役でした。
劇中、藤さんと倍賞さんの夫婦は結婚50年という設定でしたが、実際の50年前というと、倍賞千恵子さんは
『男はつらいよ』(1969 山田洋次監督)がスタートし、「さくら」になった年。藤竜也さんは「日活ニューアクション」を担う若手俳優として『野獣を消せ』(1969 長谷部安春監督)で渡哲也さんに敵対するグループのリーダー
を演じたりしていました。そして、星由里子さんは前年の『リオの若大将』(1968 岩内克己監督)で「澄子」を卒業、新たなステップに入ったころでしょうか。いずれにしても、松竹、日活、東宝と別々の会社でそれぞれのカラーの作品で活動なさっていた3人が50年経ってこうして共演しているのは、何だか感慨深いものがあります。
それにしても、星さんが亡くなられてもう1年経ってしまったのですね。まったく早いものです。当ブログ2018年6月21日「追悼・星由里子さん」から27日にかけて集中的に書いていますのでご参照ください。  (ジャッピー!編集長)
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