5月12日にお亡くなりになった京マチ子さんの出演された映画はちょうど100本。僕はそのうち、69本を観ていますが、古い作品だともうフィルムが失われているものもあるでしょうから、コンプリートは難しいかな……と思っています。
昨日の当ブログで書いたように、京さんが戦前に出演された『天狗倒し』(1944 井上金太郎監督)、『団十郎三代』(1944 溝口健二監督)はまだ「大阪松竹少女歌劇団」在籍中。戦後、大映に入社して本格的に「映画女優」としてスタートした京さんの第1作が『最後に笑う男』(1949年 安田公義監督)です。先頃、京さんの訃報に際して、仲代達矢さんの「役者になる前からファンでした。『最後に笑う男』を観て、それまでの日本の女優にはいなかった雰囲気と自然な演技に魅せられたものです」というコメントが新聞に載っていました。
僕もこの『最後に笑う男』を観ています。といっても、もちろん仲代さんのようにリアルタイムではありません。2年前に角川書店の「神楽座」というホールで観ました。現在、「大映映画」のコンテンツを所有している角川が定期的に古い映画を上映してくれる会でした。というわけで、わりと最近観たばかりなのでよく覚えているのです。
冒頭のキャスト、1枚の画面に4人、左から日高澄子、滝澤修(民芸)、二本柳寛(新スター)、京マチ子(SKD)さんと並びます。京さんの出身を「売り」にするためか(SKD)と表記され、実際に菅原都々子さんの唄をバックに京さんとSKDが踊りを見せる場面があります。二本柳さんは同時期に売り出そうとした新人で、京さんは初めて顔を合わせたとき「何て色の黒い人かしら」と思ったと何かで書いていました。僕は、この映画の二本柳さんを観て「何て舘ひろしさんに似ているのだろう」と思いました。
京さんの役は、サーカス団の団員。他の団員に滝澤さん、加東大介さん、杉狂児さんらがいます。人気が落ち目になってきたサーカス団で「もう解散しかないか……」という声も出る中、空中ブランコのスター、二本柳さんを招いて起死回生を図ります。二本柳さんは借金に追われているため、この無名のサーカス団に入りますが、スターであることを鼻にかけた女たらしで、女房(日高さん)がいながら、早速、京さんに目をつけます。
二本柳さんは弟の伊達三郎さんとコンビを組んでいますが、伊達さんはヤクザに怪我させられてしまいます。代役に加東大介さんをたてますが使い物にならず、滝澤さんと組むことになります。滝澤さんは団員も知らないのですが、かつて「海燕ミニー」と称した空中ブランコのスターだったのが女房に逃げられ、荒れて酒浸りになっていたのです。そのかつての女房というのが何と日高さんで、日高さんを挟んでの三角関係に、お互いの信頼が必要な「空中ブランコ」が絡むというストーリーです。当時のプレスには「恋の敗残者の胸三寸にある恋仇(ライバル)の命!」と宣伝文案が載ってます。
加東さんや、民芸の重鎮、滝澤さんの短足(失礼)の体型にサーカスの衣装は合わないし、無理のある展開ではありますが、脇役の京さんの踊りがかなりフィーチャーされている手堅い娯楽作です。京さんだけでなく日高澄子さんもセパレーツの衣装で登場するなど、けっこう大胆な露出で、女優陣は敗戦後の沈んだ日本には眩く映ったことと思います。そういえば、京さんと日高さんは顔立ちが似ていることがよく話題になっていましたね。  (ジャッピー!編集長)

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