昨日の当ブログで、京マチ子さんのデビュー3作目にして大映入社第1作『最後に笑う男』(1949 安田公義監督)を取り上げました。僕が観たもっとも初期の京マチ子さんの出演作です。これは二本柳寛さんの大映入社第1作でもあり、主要な役を演じていました。二本柳さんも京さん同様、戦前に東宝などで映画出演の経験があり、全くのデビュー作ではありません。
大映は、京さんと二本柳さんを売り出そうと続けて共演作を繰り出します。同年に公開の『地下街の弾痕』(1949 森一生監督)です。これも僕は昨年観たばかりなので記憶は鮮明です。この作品は、殺人事件を追う警察の働きを街ロケを多用したセミ・ドキュメンタリーのタッチで描いていますが、おそらく『裸の町』(1948 ジュールス・ダッシン監督)の影響を受けていると思われます。『裸の町』はニューヨークですが、こちらは大阪が舞台です。
冒頭、梅田の地下街で死体が発見されます。朝、我先にいい場所をとろうと地下への階段を駆け下りていく靴磨きの少年たちが見つけるのです。捜査にあたる刑事たちは、主任が志村喬さん、その部下の若手刑事が二本柳寛さん、伊達三郎さんなどです。伊達さんもけっこう出番多いですよ。その上司の部長刑事が大友柳太朗さんで、まだ「東映」ができる前、戦前からの大映に所属していたのです。刑事たちは地味な聞き込みを続けて真相に迫っていきます。殺されていた人は戦争中、通信兵だったので密輸犯の暗号無線係に使われていたことが分かります。ラスト、かなりの警官が動員されての大捕物となり、「警察の威信をかけて……」なんてセリフも聞かれます。実際にそういった意図があって作られたのかもしれません。というのは、この映画、「大阪府警全面協力」となっているからです。まだ戦後の混乱期、犯罪も多かったでしょうから警察力を見せるプロパガンダの性格があったと推測できます。
京さんが演じるのは、二本柳さんの友人(現在、新聞記者)の妹で、何と殺された男は京さんの夫だったのです。かつて、二本柳さんと親しくしていて結婚を望んでいましたが、京さんには「相談しやすいお友だち」と言われ、フラれていたのでした
。(この回想シーンで二本柳さんの学ラン姿を披露するのですが、本当に似合ってない……) 事件が解決し、京さんが「また会ってくれるわね」と言って二人が結ばれることが示唆され映画は終わりますが、被害者が京さんの夫だったというのは取ってつけたような偶然だし、現在は京さんはダンサーになっていて、ダンスホールでセパレーツの衣装で踊るのも、あまり必然性のない感じです。(京さん目当ての観客へのサービスですな) 
しかし、刑事部屋の女性事務員が硯で墨をすっていたり、サイドカーつけた白バイが登場したり、昭和24年ということで浮浪者なども多く、立て看板を布団代わりに寝ていたヨッパライが死体に気づかず、♪こ~んな男に~誰がした~ と「星の流れに」の替え歌を唄ったりします。当時の街のナマの姿を映し出すのが資料的にも貴重です。僕は勤めていた頃、夏によく関西に出張して、この梅田地下街で食事したりして馴染みもあるので、そういう意味でも興味深かったです。
あと、冒頭、「社会式株映大」という風に右からのスタイルで会社名が出るのですが、この右から読む表記というのは戦後いつ頃まで使われたんですかね? どなたかご存知の方、お教えください。
(ジャッピー!編集長)
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