当ブログ5月20日に、新作映画『初恋 お父さん、チビがいなくなりました』(2019 小林聖太郎監督)のことを書きました。藤竜也さんと倍賞千恵子さんが夫婦役を演じた佳作ですが、、星由里子さんの遺作でもあります。地元のシネコンで観た帰り、『ばあばは、だいじょうぶ』(2019 ジャッキー・ウー監督)のポスターがあったので見てみると、そこに「内田裕也」さんの名前が! オッ、こちらは内田裕也さんの遺作かと思い、その5日後に観に行きました。
主演の「ばあば」の役は富士真奈美さん。息子夫婦とその子どもの翼くん(寺田心くん)と一緒に住んでいます。庭で花や野菜を育てたり、孫である翼くんがちょっと意地悪されているのを知ると学校に迎えに行って、いじめっ子に注意したりの元気なおばあちゃんです。その「ばあば」が少しずつ様子がおかしくなっていきます。最初は翼くんを迎えに行くのを忘れたり、近所の人の名前が分からなくなったりという程度でしたが、買い物に行って小銭が数えられなくなって万札を出したり、部屋の片付けができなくなります。お嫁さんが片付けようとすると「触らないで! この家には泥棒がいる!」と叫びます。明らかに認知症の症状を見せ始めます。また、富士さんが本当に認知症になったかのような演技で、迫真性があります。相当に役の研究をしたと思われます。
このへんまで観て、僕はもう辛くて胸が痛くなってきました。というのは、僕の母も認知症を患い、この何年かいろいろなことがあり、本当に人ごとと思えないからです。劇中、お嫁さんが「昨年は咲かない花もあったし、野菜もとれなかった。もしかしたら育て方が分からなくなっていたのかも……。その頃からもう始まっていたのかもしれない……」と兆候を感じ取れなかった自分を責める場面がありましたが、まさに僕も、仕事をして忙しいのにかまけて兆候を見逃していたという思いがあってずっと自分を責め続けているのです。劇中の富士さんもそうだったように、自分が認知症になりつつあることに不安だったろうなあ、もっと何とかできたんじゃないか、何で分かってあげれなかったんだ……という悔いがずっとあるのです。
そんな僕の個人的な事情もあり、心に刺さる映画でした。ラストも富士さんの思いが書いてあったメモが出てくるシーンでも自分の母親のことと重なり落涙しました。近所に住み、奥さんが認知症になった平泉征さんの「楽しいこと、良かったことを忘れてしまうが、それは悲しいこと、辛いことも忘れられるということだから、一日一日また生まれ変わった気持ちで生きようと呼びかけている」という科白が印象に残りました。
さて、内田裕也さんはどこに出るのかと、目をこらしてスクリーンを見つめましたが、どこにも出ていなかったような……。あの裕也さんの風貌だから見逃すはずないのに……。と思ったら、「ばあば」の息子(翼くんのパパ)が内田裕也さんでした。それまで別の名前で活動していた役者さんで、最近、本名の「内田裕也」を芸名にしたのでした。「ロックンロール」とも「シェケナベイビー」の内田裕也さん(本名は「雄也」)と全くの同姓同名の芸名だったのです。そういえば、樹木希林さんはテレビのチャリティーで元の芸名「悠木千帆」を売って、その名前は小さい劇団の女優さんが使っていると聞いたことがあります。「内田裕也」も「悠木千帆」も名前は生きているのです。(ジャッピー!編集長)
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