昨日の当ブログ「『冬の華』幻の健さんと百恵ちゃんの共演」で書きましたが、倉本聰さんが「脚本を一字一句直す事はあいならん」と言ったことに当初予定されていた山下耕作監督が「クソ生意気な」とキレて、断ったのです。一説には『冬の華』という倉本さんがつけた題名が東映らしくないとプロデューサーが『冬の華(仮)』としたのに対し、倉本さんが怒り「じゃあ、ホンを返してくれ」と言ったのが端緒と言われています。倉本さんほどになると、タイトルひとつにも拘りがあり、変更されるなんて我慢できないわけです。
そんな倉本さんですから、『前略おふくろ様』に主演した萩原健一さんも大変苦労したそうです。当ブログ2017年1月28日「『勝海舟』から『前略おふくろ様』」に書いたように、倉本さんが脚本を担当した1974 年の大河ドラマ『勝海舟』で萩原健一さんが人斬り以蔵役を好演、翌年『前略おふくろ様』の主役サブちゃんを演じることになります。倉本脚本ですから、もちろん一字一句そのまま演じなければいけません。アドリブなんて絶対許されません。『前略おふくろ様』をご覧になっていた方ならご存知でしょう、この「サブちゃん」という主人公はちょっとドモリ気味で、「あいやー、い、いやいやぁ、そ、そら、菜、ないっすよ」というセリフ回しでした。(物真似された方も多いでしょう) 驚くべきことに、こういった台詞もすべてシナリオ通りなのです。どもる所もきちんと区切られて、「、」「。」も全部シナリオ通りやらされたそうです。料亭が舞台のドラマですから、食事のシーンが多いわけですが、そこも勝手に食べながら台詞を言うのはなく、誰かが物を食べる間に別の人が台詞を言い、また誰かが物を食べる間に次の台詞……とすべてピッタリはまるように書かれていたそうです。倉本さんは食事のシーンを書くときは自分で実際に食べて「間」を計って書いていたといいますから徹底しています。
ショーケンは、それ以前、『傷だらけの天使』などではアドリブをぽい台詞を発したり、『青春の蹉跌』(1974 神代辰巳監督)などでは、自分でアイデアを出し演じていて「感性」の俳優という感じでした。なので、倉本作品に出てシナリオを一字一句変えないでやろうと、あえて自己鍛錬としてやってみることをと自分に課したのだそうです。僕も『前略おふくろ様』は大好きなドラマで毎週欠かさず観ていましたが、見事にショーケンはそれまでのアウトローと違った素朴な「サブちゃん」を演じきったのでした。 (ジャッピー!編集長)
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