6月15日の当ブログで書いたように、萩原健一さんが自身の主演作『青春の蹉跌』(1974 神代辰巳監督)の監督に神代辰巳さんを指名したのは、その前に『四畳半襖の裏張り』(1973 神代辰巳監督)を観て感心したからです。フランソワ・トリュフォー監督も絶賛したこの作品をショーケンが観る切っ掛けを作ったのが三國連太郎さんです。
ドラマの撮影で北海道にロケに行き三國連太郎さんと一緒になったとき、三國さんに『恋人たちは濡れた』(1973 神代辰巳監督)を薦められたそうです。それで、撮影オフの日に観に行ったそうです。三國さんと一緒に行ったという説もあります。北海道の田舎にひっそりと立つ小さな映画館に三國さんとショーケンが日活ロマンポルノを観に入っていくのも何だか映画の一場面のようですね。そこで印象に残ったのでしょう。ショーケンは東京に戻って『四畳半襖の裏張り』を観たという話です。それまで、「神代」の読み方も知らなかったというショーケンにとっては、自分の映画俳優人生に大きな出会いとなったわけです。
そんな切っ掛けとなった三國さん、押しも押されぬベテラン俳優となっても日活ロマンポルノの小品にも注目していたというのだからスゴイものです。名優という位置に安住せず、アンテナを張っているのがハンパないです。ショーケンの本格的映画主演となった『約束』(1972 斎藤耕一監督)(←当ブログ4月4日、7日をご覧ください)で三國さんはショーケンと共演しています。このとき、三國さんはショーケンに「ただ脚本に書いてある通りに演じるだけではいけない。自分なりに考えて、工夫をして、より良いものにしていこうという姿勢が大切なんだ」と言われたそうで、これは「俳優」としての心構えとしてショーケンには忘れられない言葉になったといいます。こののち、神代辰巳監督作品の現場でいろいろアイデアを出したりという姿勢の基本にあったのはこの言葉だったかもしれません。逆に、倉本聰さん作品に出て「脚本に一字一句従う」ということを自分の修業と位置付けたわけです。(当ブログ6月12日参照) 
『約束』では、逃亡犯のショーケンは映画のラスト近く、とうとう捕まってしまいます。刑務所に戻った岸惠子さんに差し入れしようと洋品店に入ったところを尾行した刑事に取り押さえられるのです。この刑事を演じたのが三國さんなんですが、このシーンの撮影前、三國さんはショーケンに「決して手加減せずに殴るからね。ゴメンね」と伝えていたそうです。そしてその通り、本気で殴られ、ボコボコにされたショーケンですが、この三國さんのやり方には大いに共感したそうです。撮影も一発でOKが出て、真に迫った名場面になっていました。
池袋新文芸坐では、明後日の22日(土)から8日間、「萩原健一さん追悼上映」が開催されます。初日にこの『約束』が上映されますから、是非このショーケンと三國さんの本気モードの演技をご覧ください! 併映は同じくショーケンと岸惠子さんのラヴ・サスペンス『雨のアムステルダム』(1975 蔵原惟繕監督)、こちらにも三國連太郎さんが出ております。  (ジャッピー!編集長)
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