朝ドラ『なつぞら』の今週は、なつ(広瀬すずさん)が同僚だった坂場一久(中川大志さん)と結婚し、北海道に里帰りしました。一久は自分が手掛けたアニメ映画の不入りの責任をとり、会社(東洋動画)を辞めてしまったので、紆余曲折ありましたが無事結婚となりました。
その伏線として、東洋映画の新年会?で社長の大杉満(角野卓造さん)が社員を前に「大事なのは予算と期日を守ることだ!」みたいなことを厳命する場面がありました。これに対し、芸術家肌の一久は違和感を覚えたのでしょう。利益を第一に考える企業と、その中で自分ののぞむ表現をどう両立できるか悩んだことでしょう。
角野卓造さんが演じている「大杉満」とは、もちろん東映社長の「大川博」さんがモデルになっています。大川社長は元々「鉄道院」の役人で、戦後「東京急行電鉄」に入って経理畑を歩いた人です。「東急」の会長・五島慶太さんはずっと「東横映画」の赤字に悩み、立て直しに当時専務の大川さんを「東映」送りこんだのです。「東映」は「東横映画」「大泉映画」「東京映画配給」の3社が合併し発足した会社で、3社から成ったのをあらわし、あの「東映の三角マーク」になったのです。ところが、社員たちは「あのマークは死人が頭につける三角の布だよ。もう会社もお陀仏だぞ」と噂するほど業績不振だったのです。東映社長に就いたとき、机の上に当時で11億円!もの不渡り寸前の手形が積まれていたといいますから、そこに乗り込んで再生させた手腕はたしかにスゴイです。現場からは、「社長は映画が分かっていない」とか「シブチン」とか散々言われていたようですが、大川さんは自分に課せられた会社の財政再建のため、なりふり構わず緊縮財政を徹底したのです。有名な話ですが、美空ひばりさんとの契約に対し「あんな小娘に1000万円ものギャラが出せるか!」と言ったとか、極力ローコストで最大の利益をあげようとしたのです。大川さんにとっては、映画は芸術とか、文化というよりはあくまで
金を儲ける「商品」だったのですね。
ですから、朝ドラに描かれたように「予算、期日ファースト」を宣言するのも無理ありません。時代劇の隆盛で映画会社の興収トップに立つと、その勢いに乗って「第二東映」を発足させ、「日本映画界の収入の半分は東映がいただく!」と気炎を揚げます。とにかく利益をあげるため「増産、増産!」とイケイケの経営者だったのです。ドラマの中で、なつたちをテレビアニメ部に異動させるのも、アメリカを視察し、テレビ時代到来をいち早く視野に入れ「儲かる」と判断したのでしょう。
そんな大川さんですが、「野球」は愛していたようで、パ・リーグ発足時に初代会長に就いたり、「駒沢球場」での東映フライヤーズの試合はほとんど欠かさず観戦していたそうです。水原茂監督という大物監督を引っ張ってきてついに1962年に優勝、日本シリーズも制します。このとき、チョビ髭の大川さんが背番号100のユニホームを着て満面の笑みを浮かべてはしゃいでいたのが印象的です。(ジャッピー!編集長)
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