本日8月9日は、長崎に原爆が投下された日です。8月7日のブログに書いたように「第8回新藤兼人平和映画祭」で吉行和子さんのトークショーがあったのですが、8月9日は吉行さんのお誕生日。しかし、「一度も祝ってもらったことがない」そうです。お母さまのあぐりさん(朝ドラ「あぐり」で描かれましたね)は「長崎に原爆が落とされた日ということしか言わなかった」そうです。直接被害に遭わなくても、その時代を生きた日本人にとって8月6日と9日は絶対忘れることのできない日として刻まれたわけです。今では、「何の日?」という若者も多くなってしまいました。

さて、吉行和子さんは昭和10年8月9日のお生まれですから、トークショー当日は83歳でしたが、とてもそんなお歳には見えません。やはり、現役バリバリだからでしょうか、口調もはっきりしていてお若い! 「この歳になっても仕事ができるというのは嬉しいですよ」とおっしゃる通り、最近では『東京家族』(2013 山田洋次監督)、同じキャストでシリーズ化された『家族はつらいよ』(2016 山田洋次監督)、『家族はつらいよ2』(2017 山田洋次監督)、『妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ』(2018 山田洋次監督)と。毎年スクリーンに登場していますし、今年は主演作も公開されました! 

『雪子さんの足音』(2019 浜野佐知監督)です。地方大学に入学した男子が間借りするのですが、大家さんの老女(吉行和子さん)が面倒見が良いのを通り越して、だんだん過剰になっていき……という物語です。大学生は最初は「これも一種のバイトというか、おばあちゃんと理想の孫ごっこをしているというか……」と利用している節もありますが、じわじわと絡めとられていきます。演じるのが寛一郎さんで、NOと言えない優柔不断な性格ながらどこかに狡さもある青年をうまく演じていました。(お父さんの佐藤浩市さんも「友情出演」されています)もう一人、やはり下宿人で雪子さんと張り合う?女性を演じた菜葉菜さんも屈折した心理を見事に表現していました。

いない時に勝手に部屋に入りこみ掃除をするので、寛一郎さんがちょっと抗議すると、「あら、きっと妖精さんのしわざね」などと言う大家さん、そんなちょっと浮世離れした雪子さんを、吉行さんが嬉々として演じているように見えます。映画のあと、インタビュー記事を読んでみると、「年齢から行って年寄りの役しか出来ないのはいいのだけど、どうせなら、胸がざわつくような年寄りを演りたい。もの分かりがいい人は退屈ですからね」と密かに思っていて、浜野監督に「とんでもないバーサンが演りたい」と言ったのが実現したのだそうです。浜野監督とは『第七官界彷徨~尾崎翠を探して』(1998 浜野佐知監督)、『百合祭』(2001 浜野佐知監督)、『こほろぎ嬢』『百合祭』(2006 浜野佐知監督)などで出演して気心も知れているからでしょう、まさに吉行さんの希望通りの役でノッていたのですね。

トークショーでも、「この歳になって仕事ができるというのは嬉しいですよ。私も映画が大好きで、よく観に行くのですが、自分の人生だけでなくいろんな人生を知ることができるから」とおっしゃっていました。そういえば、5月に『雪子さんの足音』を観に行ったときに、観客に混じって吉行さんもいらしていたなあ。僕も歳とっても、歩いて元気に映画館通いをしていたいものです。(ジャッピー!編集長)


にほんブログ村 その他趣味ブログ 昭和レトロへ にほんブログ村
おもしろいと思ったら、クリックしてください!