国際文化画報 日立の煙突の写真
ひとつ前の当ブログにありますように、明日BSフジで終戦74年特別番組『落語家たちの戦争~禁じられた噺と国策落語の謎~』が放送されます。ハピイ氏橋さんのイラストも登場するそうなので楽しみですね。
この番組のディレクターをつとめた松村克弥監督の新作映画を最近観ました。『ある町の高い煙突』(2019 松村克弥監督)です。新田次郎さんの原作を映画化したもので、実話に基づいています。舞台は茨城県久慈郡入四間。自然豊かな土地ですが、ここに「煙害」が発生します。時代は日露戦争、第一次世界大戦と日本がイケイケの頃、日立の銅鉱山が「国策」によって増産体制に入ります。休まず増産する過程で出る「煙」が山林、田畑が多大な被害を受けてしまいます。主人公の三郎(井手麻渡さん)は地主の息子で、勉学もでき外交官希望でしたが、進学を諦め、住民たちのため鉱山会社との交渉にあたります。
会社側はバックに「国」の命令があるから補償するから引っ込んでろという態度です。先祖から受け継いだ土地を台無しにされた農民からしたら、金で済む問題ではありません。住民たちを切り崩すために暗躍する螢雪次郎とか、まるで後年の「地上げ屋」です。劇中、たしか「小の虫を殺し、大の虫を生かすためだ」という科白が軍の担当者の口から発せられたと思います。いつの世も「国」の都合、戦争やそれによって潤う一部の層の経済が優先されてしまうのです。そこに住む者の暮らしや思いが圧殺されてしまうのです。特に、今まだ多くの人が戻れない事態を引き起こした「原発」のことを思い出さずにはいられません。
映画は、三郎、また企業側の渡辺大さん(何と渡辺謙さんに似ているのだろう!)や開業者の吉川晃司さんの理解、努力もあって高い煙突を作ることになります。亜硫酸ガスは高く排出すれば空気中で薄まり害がほとんど無くなるのです。そして困難を越えて住民たちも加わり、当時世界一の高さ(155メートル)の煙突を建造するのです。建設途中で事故があったり、このスペクタクル・シーンは見ごたえありました! 
三郎が渡辺大さんの妹と文通しているのを「企業側のスパイだろ」と疑われたり、「ムカデ煙突」の失敗もあったり紆余曲折あり、三郎も一時はあきらめかけますが、何とか達成するのです。「国策」の大義名分のもと、必死で抗い粘り強く戦った人がここにもいたのです。僕の知らない事実だったので、映画を観て良かったです。明日の『落語家たちの戦争~禁じられた噺と国策落語の謎~』では、どのような史実が紹介されるでしょうか。是非ご覧ください。 (ジャッピー!編集長)
ある町の高い煙突 プログラム



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