8月16の当ブログで石原裕次郎さん主演『陽のあたる坂道』(1958 田坂具隆監督)を取り上げたとき、『嵐を呼ぶ男』(1957 井上梅次監督)にもちょっと触れました。1957年末に公開されたこのお正月映画で裕次郎さん人気が一気に盛り上がりました。ドラマー役の裕次郎さんが、敵に手を痛めつけられ、ドラム合戦の途中から♪おいらはドラマー、やくざなドラマー~と歌うシーンが決定的でした。井上梅次監督はこうした音楽を上手く取り入れた娯楽映画の名手で、『嵐を呼ぶ男』の大ヒットのあと、小林旭さんがジャズ・トランぺッターに扮した『嵐を呼ぶ友情』(1959 井上梅次監督)も撮ってます。

そして、井上梅次監督は東宝で『嵐を呼ぶ楽団』(1960 井上梅次監督)を撮ります。「嵐を呼ぶ」3部作?の集大成ともいえる本格音楽映画です。主演は宝田明さん。当ブログ8月7日「追悼・高島忠夫さん」で書いたように、新東宝に入社したものの会社が傾き、東宝に移籍した高島忠夫さんが共演しています。のちにミュージカルの舞台で活躍されたお二人です。さらに雪村いづみさんや、宝塚出身の朝丘雪路さんなど歌えるキャスティングにも恵まれ、ふんだんに歌や音楽が楽しめる作品です。

宝田明さんの役はジャズ界の草分けのミュージシャンの遺児(この辺は『嵐を呼ぶ友情』と似た設定です)で、才能はありますが鼻っ柱が強いピアニストです。人気のショーダンサー(雪村いづみさん)の伴奏中、勝手に即興を始めて面罵されたりします。父のバンド「ブルースター」の名前をつけた自分の楽団を持ちたいという宝田さんの才能に魅かれ、トランペットの高島忠夫さんが協力します。高島さんの方は宝田さんと正反対で心優しい穏やかな青年で、まさにこれも高島さんらしい役です。

宝田さんの楽団ははじめは売れませんでしたが、出演していたキャバレーの面接で知り合った朝丘雪路さんが加わってから波に乗り、人気バンドになっていきます。人気投票のトップにも立つ成功をおさめますが、朝丘さんをめぐり宝田さん、高島さんの感情がもつれ解散となってしまいます。

面白かったのが、楽団当初、お客が集まらず散々の入りで、マネージャー(山茶花究さん)が夜逃げしてしまい、宿の代金を払えなくなってしまいます。メンバーは旅館の布団部屋に押し込められますが、この旅館の息子(神戸一郎さん)がと番頭(柳沢真一さん)がジャズ狂で、その助けで旅館を脱出します。神戸さんの親父がジャズ嫌いで、この役を演じるのが柳家金語楼さん! 実生活では息子がロカビリー三人男の山下敬二郎さんですから、思わず笑ってしまう配役であります。

この神戸一郎さんもそうですが、電車内で会った車掌(江原達怡さん)もジャズ好きで仲間に加わったり、流しをやっている水原弘さんと意気投合したり、キャバレー回りをしているうちに次々にメンバーが集まっていくのが、まるで「次郎長三国志」みたいな感じで楽しいのです。ラストも、散り散りになって、皆それぞれソロで活躍していますが「再結成」を願い、雪村さんも加わり「ブルースター」が復活。恋の方も、ぶつかり合っていた宝田さんと雪村さんがくっつき、高島さんと朝丘さんが結ばれ、丸くおさまります。この多幸感、まさに娯楽映画の王道です。

高島忠夫さんは亡くなってしまいましたが、宝田明さんは現役バリバリ、ミュージカル映画『ダンス・ウィズ・ミー』(2019 矢口史靖監督)でも元気な姿を見せてくれています!  (ジャッピー!編集長)

 


にほんブログ村 その他趣味ブログ 昭和レトロへ にほんブログ村
おもしろいと思ったら、クリックしてください!