このところの当ブログで、吉本興業がすっかりアベ政権の手先と成り下がっていることを書きました。こうなると、権力におもねって、権力に都合のいいようなネタをやるようになっていくでしょう。反権力的なことに腰が引けるようになるのは、今のメディアの状況を見れば明らかです。
権力が「文化」「表現」に介入することの怖ろしさは、日本人は戦前に経験したことです。「大正デモクラシー」といわれた自由な雰囲気から一転、昭和に入ってすぐの不況から盛り上がった左翼運動に対して締めつけが厳しくなります。さらに1931年(昭和6年)の「満州事変」以後はちょっとでも反戦的とみられる団体、活動にくまなく目が光らせるようになります。当時、多くなっていた「左翼演劇」も上演ごとに台本を特別高等警察に提出し検閲を受けることになります。許可をもらわないと上演が出来なかったのです。しかも、劇場内に「臨監席」というのがあって、検閲官が座っていて、検閲を通った台本通りにやらないと注意、場合によっては即刻中止となったのです。権力に見張られながらの上演です。「表現の自由」も何もあったものじゃありません。
当時、大人気のエノケンこと榎本健一さんは、左翼思想にはいっさい関係ありませんでしたが、アドリブでお客さんを笑わすのが得意でした。臨機応変に台詞を即興で言ったり、客に話しかけたりで爆笑させていたのです。これに対して、「台本にない」と注意され、時に警視庁に呼ばれ始末書を書かされたそうです。ある日、警視庁に呼び出された榎本さん、検閲官に「おい、エロケン、お前はまだそんなことやっているのか」と怒鳴られたそうです。当時のレビューというのは、ダンサーたちの踊りも見せていたので、上から目線の警官は「エロケン」とバカにして呼んだのです。これに対して、エノケンさんは怒って警官につかみかかって「やい! エロケンとは何だ! ふざけたこと言うな。職権を笠にきて弱い者ばかりいじめやがって。お前なぞ生かしちゃおかないぞ。俺はもう役者を辞めてお前をぶっ殺してやる!」と叫んだそうです。あまりの迫力に警官はすごすご部屋を出ていったそうです。
こういった受難の時代をおくった先輩たちがいて、「お笑い」の歴史が紡がれているのです。吉本興業はそんな先人たちにリスペクトしてほしいですね。「お笑い」が弱い者いじめする方にまわっていいのでしょうか。  (ジャッピー!編集長)
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