今年の8月11日に俳優のピーター・フォンダさんが亡くなりました。79歳です。永遠の青年のように思っていましたが、思えばアメリカン・ニューシネマの時代から50年も経っているのですね。

ご存知のように、ヘンリー・フォンダさんの息子で、姉にはジェーン・フォンダさんがいます。この3人のお顔はよく似ていますね! 親子、姉弟、遺伝子というのはすごいものです。ヘンリー・フォンダさんといえば、誠実な役柄が多く、「アメリカの良心」と称される名優ですが、家庭では結婚、離婚を繰り返し、ジェーン、ピーター姉弟のお母さんは自殺しています。そんなこともあり、二人とも父・ヘンリーさんとは不和となり、それぞれ俳優となってからもお父さんのイメージに反逆するような言動で話題になりました。姉のジェーンさんは、ヘンリーさんの最晩年に和解、父のために原作権を買い、『黄昏』(1981 マーク・ライデル監督)で共演、ヘンリーさんに念願のアカデミー賞主演男優賞をもたらします。

フランスに渡り、セクシー・シンボルになったり、アメリカに帰ってウーマンリブの闘士になったジェーンさんと同様、ピーターさんもアメリカン・ニューシネマの旗手として既成のハリウッドに反逆するような活躍を見せました。しかし、大学時代から演劇活動をしていて、卒業後はブロードウェイの舞台に立ち、賞も受けるなど注目されたピーターさんはハリウッドから声をかけられ、『魚雷艇109』(1962 レスリー・H・マーティンソン監督)の主役の候補になります。この映画は、太平洋戦争に中尉として参加した若き日のジョン・F・ケネディさんの活躍を描いた物語で、ピーターさんはケネディ役にあてられたのでした。しかし、スクリーンテストの結果、この役はクリフ・ロバートソンさんに決定します。理由はクリフさんがケネディ大統領に似ていたからです。(たしかに似ていると思います)

こういうこともあり、ハリウッドに失望したピーターさんはいくつかの役をこなしながら次第にハリウッドに背を向けるようになります。姉のジェーンさんからドラッグを教えられ、ラリるようになったピーターさんですが、これがB級映画の巨匠・ロジャー・コーマンさんの目に留まって、『ワイルド・エンジェル』(1966 ロジャー・コーマン監督)、『白昼の幻想』(1967 ロジャー・コーマン監督)に出演します。どこにチャンスがあるか分かりません。「ヘルズ・エンジェルズ」を題材にしたバイカー映画『ワイルド・エンジェル』、LSDをテーマにした『白昼の幻想』、これが『イージー・ライダー』(1969 デニス・ホッパー監督)に直結するのは言うまでもありません。

もし、『魚雷艇109』でケネディ役になっていたら、お父さんのヘンリーさんばりの「誠実な青年」イメージの国民的スターになっていたかもしれません。最近観た『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019 クエンティン・タランティーノ監督)の中で、レオナルド・ディカプリオさんが私道に入ってきたヒッピー(マンソン信徒)たちに「このデニス・ホッパーめ!」というシーンがありましたが、もしかするとピーターさんもそっち側になっていたかもしれません。また、ジェーンさんがピーターさんにドラッグを教えなければ、ビートルズの「シー・セッド、シー・セッド」も生まれず(この曲はジョン・レノンさんがアメリカ公演に行った際にピーターさんと一緒にLSDを飲んだ経験から作られたことで有名)後期のビートルズはまた別の展開をしていたかもしれません。歴史にはいくつもターニングポイントがありますね。

ハリウッドに背を向けて、カウンターカルチャーの新たな局面を拓き、その後もいろいろな映画で楽しませてくれたピーター・フォンダさんのご冥福を心よりお祈りいたします。  (ジャッピー!編集長)

 

 

 

 

 


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