ひとつ前のブログに書いたように、『イージー・ライダー』(1969 デニス・ホッパー監督)は1970年1月に「有楽町スバル座」で公開され、連日、観客が列をなしました。本国アメリカでは1969年7月に公開されましたから、今年で50周年です。その節目の年にピーター・フォンダさんは亡くなってしまいました。

ジャック・ニコルソンさんが脚本を書いたLSD映画『白昼の幻想』(1967 ロジャー・コーマン監督)でピーター・フォンダさんは共演したデニス・ホッパーさんと意気投合します。ホッパーさんは『理由なき反抗』(1955 ニコラス・レイ監督)や『ジャイアンツ』(1956 ジョージ・スティーヴンス監督)でジェームス・ディーンさんと共演するなど早くからハリウッド映画に出ていましたが、薬物使用などで干されていました。昨日の当ブログ「追悼・ピーター・フォンダさん」にも書いたように、若き日のケネディ役を逃したピーターさんとホッパーさん、そんなハリウッドからはぐれた二人にテリイ・サザーンさん(エロチック小説『キャンディ』の作者で有名)を加えた三人が脚本を書いたのが『イージー・ライダー』です。初めはピーターさんが監督も兼ねる予定だったそうですが、製作にまわり、ホッパーさんに監督を託して撮影されました。

キャプテン・アメリカ(ピーター・フォンダさん)とビリー(デニス・ホッパーさん)の二人がバイクで旅するロードムービーですが、撮影スケジュールを組まず、オール・ロケで行く先々で起こるハプニングも撮影に盛りこもうというスタイルです。日本でも石橋蓮司さんが聾唖のカップル(加納典明さん&桃井かおりさん)と共に旅をする『あらかじめ失われた恋人たちよ』(1971 田原総一朗・清水邦夫監督)がこういった撮影手法をとっていますから、明らかに影響を受けていますね。

バイクで旅する途上で当時の「アメリカ」の現実が映し出されていきます。途中で同乗するジャック・ニコルソンさん扮する酔いどれ弁護士が死ぬ間際に「この国はかつては美しい国だったのに……」と呟くのが印象的です。かつて「フロンティア」を目指して移動していったアメリカ、その「放浪」「自由」といったイメージがどん詰まりになり、幻想が行き場を失った現実。それに伴う「世代の断絶」。だから、マリファナやLSDで「幻想」を追い求め、馬の代わりにチョッパー・バイクで真っ直ぐに伸びたフリーウェイを走っていくのです。ここではないどこかにある「フロンティア」を目指して。ピーター・フォンダさん自身で監督第1作として撮った『さすらいのカウボーイ』(1971 ピーター・フォンダ監督)にも繋がっていきます。楽園を信じてカリフォルニア目指して放浪する男を描いている名作です。

『イージー・ライダー』はご存知のように、二人が南部を走っているときに、長髪を不快に思う保守的なトラックの男に撃たれて絶命して幕を閉じます。あれから50年、アメリカはどうなったでしょうか。異常な大統領が就任し、偏見と分断を押し進め、国境に壁を作り、「よそ者」を排斥しようとしています。50年経って、アメリカ社会はキャプテン・アメリカとビリーが撃ち殺された時代に巻き戻ったかのようです。    (ジャッピー!編集長)


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