一昨日の当ブログ「『イージー・ライダー』から50年」で書いたように、『イージー・ライダー』(1969 デニス・ホッパー監督)で、当時のアメリカが「フロンティア」を失った様相を描いたあと、ピーター・フォンダさんは通底するテーマを西部劇の意匠で『さすらいのカウボーイ』(1971 ピーター・フォンダ監督)を自身の監督作としました。

ピーターさんはたしかこのあとも監督作があったと思いますが、俳優としての活動が主になっていきます。60年代末から70年代初頭にかけて台頭した「アメリカン・ニューシネマ」が傍流からメインストリームになって、その商業主義に収斂されていったとも言えます。何でもそうですが、「異端」で登場してもそれが人気を集めれば「正統」になるのです。ニューシネマの感性や作家性を引き継ぎ、名作も生まれていきます。

しかし、ピーターさんが主演したのはほとんどがB級アクション的な映画です。ピーターさんにドラッグを教えた姉のジェーンさんは、ロジェ・ヴァディム監督と別れアメリカに帰ってきてウーマンリブ、反戦の闘士となって、70年代には社会派作品が増えていくのと対称的です。『コールガール』(1971 アラン・J・パクラ監督)、『帰郷』(1978 ハル・アシュビー監督)で2回アカデミー賞主演女優賞を受賞、演技派の大女優の道を上っていったジェーンさんと反比例するようにB級アクション映画への出演が続きます。

『ダーティメリー、クレイジーラリー』(1974 ジョン・ハフ監督)は2人組の男に女(スーザン・ジョージさん)が加わっての逃走劇で活劇的興奮に満ちた快作でした。激しいカー・チェイスの果て、期待通りの結末を迎えます。続く『悪魔の追跡』(1975 ジャック・スターレット監督)は、妻や友人とキャンプに行ったらカルト集団の殺人儀式を見てしまい、執拗に追われるというストーリーで、明らかに『エクソシスト』(1973 ウィリアム・フリードキン監督)や『悪魔のいけにえ』(1974 トビー・フーバー監督)の影響で作られたと思われます。ヒット作に便乗している作品ですが、やはりピーターさんは「逃げる」のが合うというか、『イージー・ライダー』の「キャプテン・アメリカ」のイメージが喚起させるものが強いと感じました。

そして、僕の大好きな作品が『ダイヤモンドの犬たち』(1976 ヴァル・ポスト監督)です。地下金庫に眠るダイヤモンドの強奪を目論む5人組のリーダーがピーター・フォンダさんで、クリストファー・リーさん、OJ・シンプソンさん、ヒュー・オブライエンさんなど素敵なキャストが揃っています。この強奪犯グループを追うのが警備会社のテリー・サヴァラスさんで、次々に仲間を殺されたピーターさんとテリーさんの最後の対決まで息もつかさぬ面白さでした! 当時、既に『資金源強奪』(1975 ふかさくきんじ監督)、『暴走パニック 大激突』(1976 深作欣二監督)や『狂った野獣』(1976 中島貞夫監督)などに狂喜し、すっかり「東映脳」になっていた僕は、勝手に日本版のキャストを考えたりしていました。ピーター・フォンダさんの役はやっぱり渡瀬恒彦さん、テリー・サヴァラスさんは梅宮辰夫さんかなあ……と。ピーターさんはのちに『だいじょうぶマイフレンド』(1983 村上龍監督)に出演されましたが、僕としては東映で深作監督や中島監督のアクション映画に出てほしかったと思ったものです。  (ジャッピー!編集長)


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