新聞に出ていましたが、TBSのバラエティー「クレイジージャーニー」という番組で「やらせ」があり、放映が休止になったそうですね。僕はこの番組を観たことがないのですが、記事によると、海外で珍しい動物を発見して捕獲するという企画なのに、実はあらかじめスタッフが「しこんだ」ものだったとのこと。単純に「珍しい動物」を紹介するだけなら問題なかったのに、いかにも発見したかのような「演出」をつけてしまったわけですね。前にも、同じような海外ロケをするバラエティーで日本テレビの「世界の果てまで行ってQ」(この番組も観たことありません……)で、ありもしないお祭りをあたかも昔からやっていたように「しこんで」放送していたそうですね。きっと、今までも同じようなフェイクな作りをした番組はあったのでしょう。こうやって他局で発覚して問題になっても、視聴率という結果を出さなきゃならないというプレッシャーの前に「やらせ」は仕方ないという感覚なのでしょうか、「やらせ」に対してマヒしているのでしょうか。

このニュースを読んで思い出したのが、今年観た映画で『旅の終わり 世界のはじまり』(2019 黒沢清監督)です。この映画には、ウズベキスタンで取材して番組を作ろうとしているTVのクルーが出てきます。ディレクターが染谷将太さん、カメラマンが加瀬亮さん、ADが柄本時生さん、レポーターが前田敦子さん、これに現地のコーディネーター兼通訳の男性がついています。巨大な怪魚がいるという湖を訪ねたり、食堂で現地の料理を食リポしたり、小さな遊園地?にある回転する遊具に乗ったり、ゆるい感じで撮影が続きます。この遊具に乗るシーンで、現地のおじさんが「あんな少女を一人乗せるのはダメだ。大人がついてあげないと」とクレームをつけます。前田敦子さんが少女に見えたようなのです。よく、外国の方からは日本人は幼く見られるといいますが、年端もいかないうちから女の子を集めて水着にさせたり、「センター」争いさせる、見方によっては女衒のようなことやってるアキモトPへの皮肉な視線が感じられるといったら穿ちすぎでしょうか。

染谷さん演じるディレクターは、立場上もあるのか、とにかく「番組」=「視聴率」のことしか考えていないような人で、何でも「金で済む」だろうと思っていることが随所に出てきます。食堂のおばちゃんにもそういう態度でしたし、前田敦子さんが狭い庭?で繋がれている山羊を離してあげたいというとすぐに「金」で買います。その山羊を高原で離すと、元の飼い主が現れすぐに捕まえます。前田さんが「何するんです!」と抗議しますが、飼い主の言い分は「あなたたちが離したなら、今この山羊は誰のものでもない」と言います。で、結局、また「金」を払って山羊を取り戻すのですが、現地の人のしたたかさだって、他国に来て、何でも「金」を払えば解決するんだという姿勢の日本人が生み出しているようなものです。

実際の「この手の海外取材」番組のクルーが多かれ少なかれ、こういう札びらで頬をたたくような態度とっているんじゃないのかねえ。よその国にズカズカと入って来て、「金」で番組(視聴率)に見合うような「ストーリー」を作ろうという傲慢さ、とにかく「下品」ですね。この『旅の終わり 世界のはじまり』はこれから進む道に迷っているレポーター(前田敦子さん)の自分探しがテーマの映画ですが、同時に「日本」という国のアイデンティティも映し出されているような気がします。「多様性」とか盛んに言いながら、今のテレビの報道は「嫌韓」一色、とくにワイドショーとかおぞましい内容です。他国に対する偏見や憎悪を煽るのも「視聴率」のためなんでしょう。ついこの前まで、「ヘイトスピーチ」を批判していたのが、一転、自分たちがまさに「ヘイトスピーチ」みたいな内容の放送しているんだからなあ。「週刊ポスト」の例を引くまでもなく、メディアの矜持など持ち合わせていないんですかね。すっかり「視聴率」の奴隷に成り下がった状態で、これからも「やらせ」番組は後を絶たないことでしょう。

(ジャッピー!編集長)

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