当ブログ9月28日「『なつぞら』とTEAM NACS」に書いたように、先週終わった朝ドラ前作『なつぞら』のテーマは「開拓」もしくは「開拓者」ということでしょう。北海道の開拓と、アニメーションの開拓。何もないところから切り拓いていく様が重なります。広瀬すずさん演じる奥原なつのモデルとなった奥山玲子さんは仙台出身ですから、「北海道」を舞台に選んだというのは明らかに「開拓」のイメージをアニメ創成期にリンクさせた設定ですね。本当にうまい脚本だなあと思います。
そして、もう一つ実際の奥山玲子さんと違って「なつ」を戦災孤児にした設定は、おそらく最終回に『火垂るの墓』(1988 高畑勲監督)に到達させるためだったのではないでしょうか。このラストまで考えた上での「孤児」設定だったように思えます。
しかし、その設定は実際に起きた事件でさらに意味をもたらしたように感じました。藤木直人さんは戦友の残した子どもを北海道に連れてきて引き取り伸び伸びと育てます。奥さんの松嶋奈々子さんもいつも気にかけなつが仕事で忙しいと知ると上京して子育てを手伝います。草刈正雄さんも「東京を耕してこい」と夢に向かうなつを応援します。ドラマが進むと忘れがちですが、血のつながらない親子、孫なんですよね。でもこれだけ親身になって、自分の子と分け隔てなく愛情を注ぎ、いつも気にかけるのです。最初の方でしたが、草刈さんがなつに「もう無理に笑うことはない。謝ることもしなくていい。お前は堂々としてろ。堂々とここで生きろ」と言ったのが強く印象に残っています。こうして、なつを受け入れたからなつも本当の家族のように自然体でいれたのです。
一方、現実の日本では悲惨な事件が続いています。義父が妻の連れ子の幼児を虐待し死なせるという事件です。昨日は、目黒区で起こった船戸結愛ちゃんが亡くなった事件で、父親の初公判が行われました。この父親、法廷で涙を流していたといいますが、これは何の涙でしょう。自分が法廷に立つような罪人になったことへの涙でしょうか。本当に結愛ちゃんのための涙を流すようなら、何でそれまで殴る、蹴る、食べ物を与えないなど止めれなかったのでしょう。結愛ちゃんがノートに書いていた「ゆるしてください。おねがいだからゆるしてください」という文章を見ると本当に胸がつぶれる思いです。5歳の女の子にこんなことを書くような状況に追い込むこの男は人間の血が通っているように思えないのです。
何で『なつぞら』のように血が通ってなくても愛情深く接することができなかったのでしょう。『なつぞら』の頃は皆、戦争という傷を負って生活には余裕がなくても、他者を思いやったり人の不幸や苦境に敏感だったのでしょうか。『なつぞら』を観ながらそんなことを思ったのです。(ジャッピー!編集長)

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