10月2日の当ブログ「『なつぞら』と幼児虐待死事件」で触れた、目黒区で起きた船戸結愛ちゃんが義父から虐待を受けて亡くなった事件。本当に怒りを禁じえない悲惨な事件ですが、3日はこの父親の公判に、自身も被告となっている母親が証人として出廷しました。この男は結愛ちゃんをサッカーボールのように力いっぱい蹴っていたとか、39日間のうち2~3度しか外出させなかったとか、食事制限を課し放置していたなど証言で明らかになりました。こんな小さな女の子に対して、まさに鬼畜のような所業です。5歳の子どもですから逃げ場がありません。本来は守ってもらうべき家で地獄のような日々、どんなに辛かったことでしょう。母親は夫の支配下にあって逆らえなかったといいますが、何とかならなかったのでしょうか。

朝ドラの前作『なつぞら』で戦災孤児の「なつ」を育てた柴田農場の人々もそうですが、最近観た映画でも心に響く科白がありました。『劇場版 そして、生きる』(2019 月川翔監督)で、「親が揃っていなくても、そばにいる人がちゃんと愛してあげればきちんとした大人に育つんだ……」といった科白でした。本当の親子でなくても、いちばん近くにいる人が愛を注いで、いつも見守っているだけでいいんです。そういったささやかな幸福すら得られず未来を奪われた結愛ちゃんが本当にかわいそうです。

『劇場版 そして、生きる』は、元々WOWWOWのドラマとして放映されたものを再編集したものだそうですが、脚本が岡田惠和さんということで観に行きました。岡田さんは2017年の朝ドラ『ひよっこ』を書かれた脚本家で、僕も楽しみに観ていました。(当ブログ2017年9月に連続的に『ひよっこ』を取り上げていますのでご参照ください)映画でも『阪急電車 片道15分の奇跡』(2011 三宅喜重監督)や『8年越しの花嫁 奇跡の実話』(2017 瀬々敬久監督)など僕の好きな作品の脚本を手掛けています。そしてこの『劇場版 そして、生きる』の主演は『ひよっこ』の有村架純さん、『阪急電車 片道15分の奇跡』にも出ていたし、岡田さんと有村さんは名コンビといっていいですね。

今回の有村架純さん演じる瞳子は幼い時に交通事故で両親を亡くし、理髪店を営む伯父の光石研さんに育てられます。引き取った娘をしっかりと育てる光石研さんが好演、ベテランらしいいい味を出していました。東日本大震災のボランティアで気仙沼に行ったときに知り合った清隆(坂口健太郎さん)も幼い頃に両親を亡くしていて、同じような境遇と知ったこともあり恋に落ち、付き合うようになります。清隆は就職が決まるも、研修時に辞め、途上国の支援をしたいと海外に行きます。そんなこともあり、二人は別れることになります。お互いに好きなのに、相手の夢ややりたい事を慮ったためです。離ればなれになって、瞳子は、岡山天音さん(←『ひよっこ』の漫画家のタマゴ役でしたね)と結婚、それぞれ別の場所でそれぞれの人生を送ります。ラスト、10年後、ふとした場所で二人は再会します。『ひよっこ』を観ていたせいで思い出してしまうのは、有村架純さんと竹内涼真さんの別れです。お互いのことを想いながら別れ、それでも続いていく人生……きっとあの二人も今の生活に懸命に取り組みながらふと思い出すことがあるのだろうなあ……などと、「その後」を想像したりしてしまいます。

すれ違いのメロドラマの現代版のような意匠ですが、ボランティアの問題(萩原聖人さんの科白が印象的)や、岡山さんが詐欺まがいの仕事をしているなど、現代の問題が散りばめられています。また、清隆が途上国の現実に打ちのめされ精神を病んだり、「何かやりたいんだよ~」と絶叫するシーンなど、アイデンティティを求める若者の現実の姿をとらえているのも見ごたえがありました。  (ジャッピー!編集長)

 

 

にほんブログ村 その他趣味ブログ 昭和レトロへ にほんブログ村
おもしろいと思ったら、クリックしてください!