「KAWASAKIしんゆり映画祭」で上映を見送ると発表されていた『主戦場』(2019 ミキ・デザキ監督)が一転、上映されることになったと新聞で読みました。この映画祭、明日4日(月)までの開催ですから、ギリギリの決定ですが、何はともあれ、上映できるのは良かったと思います。僕は半年ぐらい前にこの映画を観ましたが、そのとき既にインタビューにこたえた出演者が訴訟を起こしていて「いつ上映中止になるか分からない」という話が出ていて慌てて観に行ったのでした。結果的には普通に上映は続けられ、他の映画館でも特に問題なく上映されたのでした。

「KAWASAKIしんゆり映画祭」は、市民ボランティアによる手作り感がある一方、今年で25回目を迎える老舗?の映画祭で安定した実績もあります。毎年、テーマ性もあるし、アジア映画にも力を入れてきました。それが、今回、一時は上映を見送ろうとしたのはやはり「あいちトリエンナーレ」の一件が影響しているのは明らかです。あの「表現の不自由展 その後」の展示に対して一方的な中止判断が出され、賛否が飛び交ったことで、腰が引けたのでしょう。しかし、この『主戦場』上映中止に抗議して、『止められるか、俺たちを』(2018 白石和彌監督)と『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』(2011 若松孝二監督)の2本の作品の上映ボイコットを表明した若松プロ、「映画祭の死に他ならない」と声明を出した是枝裕和監督、『ある精肉店のはなし』(2013 纐纈あや監督)や『沈没家族 劇場版』(2013 加納土監督)の大沢プロデューサーなどドキュメンタリーに関わっている映画人たちの声によって上映されることになりました。これらの方たちはやはり、今の日本を覆い始めた、政治や行政が「表現の自由」に介入し始めた「空気」の怖さを感じ取ったのでしょう。このまま黙っていたら、なし崩し的に国家が検閲できるようになってしまいます。映画だけでなく、あらゆる表現の世界で「時の権力」の意向に沿わないものは認めないというのがまかり通る前例になってしまいます。そうなってしまわないように歯止めをかけないといけませんね。(『主戦場』の上映中止撤回を受けて『止められるか、俺たちを』もボイコットを撤回、明日上映されるようです。これも良かった!

今回、この問題に対して「しんゆり映画祭で表現の自由を問う」というオープン・シンポジウムが急遽開催され、主催者や映画人のほか、川崎市民も多数集まって意見を述べ合ったそうです。意見交換は時間を過ぎても続き、この場で結論は出なかったようですが、こういう場を設けたことが素晴らしいですね。「文化を自分たちで創り出そう」という、この映画祭の原点が感じられるし、自分たちの文化を自分たちがどう考え守るのか、ダメにするのか話し合うことに大きな意味があるように思います。「あいちトリエンナーレ」のときのカワムラ市長みたいなのが一番こわいです。ひとつの作品を見ていろんな意見があって当然です。しかし、カワムラ市長のように「オレが検閲する側にいる」と言わんばかりのドヤ顔をしたときに、まさに表現の自由は蹂躙されるのです。

今日は「文化の日」なのですが、この国の「空気」はどんどん息苦しいものになっているようです。権力を縛るべき「憲法」を権力が変えようとしている恐ろしい時代です。取返しのつかないことにならないように「文化」について考え、大事にしたいものです。  (ジャッピー!編集長)

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