『台風家族』(2019 市井昌秀監督)、新井浩文さんの逮捕で公開が危ぶまれましたが、何とか公開されて良かったということを11月4日の当ブログで書きました。当然のことですが、公開されて初めて作品として成立するわけですから、とにかく完成した映画が陽の目を見ないまま消えるなんてことが一番悲しいことです。何でも市井昌秀監督が12年も温めていた企画だそうですから本当に良かったです。市井監督のオリジナル脚本だそうで、今どきは、原作なしでオリジナルで勝負するということがなかなかないですから、そういう意味でも評価されていいと思います。

銀行を襲って2000万円を奪った父親(藤竜也さん)がそのまま行方不明になり、お金も見つからないまま時効を迎えます。それで、子どもたちが実家に集まり、仮の葬儀をすることになります。しかし、実際は財産分与の話し合いで、「犯罪者の家」ということで、家、土地合わせて800万円にしかならないのを4人で割って200万円。ここで、何の仕事もがうまくいかない長男の草彅剛さんが「弟や妹たちは大学や専門学校まで行かせてもらったのに、自分は資金をかけてもらわなかった。だから取り分を多くしろ」と言い出します。勝手な言い分に紛糾、それぞれのエゴをむき出しにします。新井浩文さんの次男は成功者でかなり羽振りいい様子で、「土地を売るのは反対。俺が維持費ぐらい出すよ」と言います。兄弟全員の同意がないと、たとえ土地が売却できても誰にも金が入らないのです。バツイチでいかにもな派手女の長女MEGUMIさんにはチャラい男(若葉竜也さん)がくっついてくるし(MEGUMIさん、ブラジャー一丁になったり、乳揉まれたりの熱演)、引きこもり?気味の三男(中村倫也さん)がこの兄弟のゴタゴタをユーチューブで流しちゃったりで騒動が広がります。ユーチューブだけでなく、オレオレ詐欺が物語の重要な起点になっていて、「今」と家族をしっかり描いています。

草彅剛さんがダメダメな男を好演していますが、思えば、SMAP解散後、ジャニーズを退所した「新しい地図」の3人はそれぞれ俳優として映画でいい仕事をしていると思います。草彅さんには、この『台風家族』の他に『まく子』(2019 鶴岡慧子監督)での女好きの父親役がありましたし、香取慎吾さんは『凪待ち』(2019 白石和彌監督)でギャンブルにハマりこみズルズル堕ちる男を見事に演じていました。また、稲垣吾郎さんは『半世界』(2019 阪本順治監督)で、炭焼き職人の役を好演していました。(この映画は素晴らしかった!) いずれも、等身大で人間の弱い部分やどうしようもなさを体現していて印象に残る演技でした。一方、木村拓哉さんなんかは新しいTVドラマでも「伝説の」シェフを演じているとかで、相変わらずの役柄です。キムタクのブランドからこういうヒーロー的な役に偏ってしまうのでしょうが、もうそろそろヤバいんじゃないかなあ。中居正広さんはほとんど司会業一本のようですが、その司会ぶりもちょっと飽きてきましたなあ。ということで、草彅剛さん、香取慎吾さん、稲垣吾郎さんの方が新しい地平に立って可能性を広げた年だったと思います。  (ジャッピー!編集長)

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