『アイリッシュマン』(2019 マーティン・スコセッシ監督)という作品を観ました。スコセッシ監督で、主演はロバート・デ・ニーロさんで、この名コンビのタッグはけっこう久しぶりかもしれません。このところ、スコセッシ監督作品はレオナルド・ディカプリオさん主演が多かったですからね。今回は主人公の殺し屋が老境に至ったところも重要だし、集大成的な意味もあるのでしょう、盟友・デ・ニーロさんの起用となったのかなと思います。他にアル・パチーノさん、ジョー・ぺシさんが出ており、マフィアの抗争のクロニクルが描かれるので、当然、『ゴッドファーザー』シリーズ(フランシス・フォード・コッポラ監督)やスコセッシ監督自身の『グッドフェローズ』(1990 マーティン・スコセッシ監督)や『カジノ』(1995 マーティン・スコセッシ監督)などを思い出させます。あ、ハーヴェイ・カイテルさんも出ていますから、『ミーン・ストリート』(1972 マーティン・スコセッシ監督)なんかも遠望できますね。低予算だった『ミーン・ストリート』から47年、今回の『アイリッシュマン』は製作費173億円! 上映時間3時間半の大作です。タクシー・ドライバーならぬトラック運転手のフランク(ロバート・デ・ニーロさん)がふとしたことで大物顔役のラッセル(ジョー・ぺシさん)と知り合い、その度胸と腕っぷしを見込まれ「殺し」など引き受けるようになります。イタリア移民社会に育ち、その世界を描くことが多かったスコセッシ監督ですが、今回の主人公はアイルランドからの移民です。アル・パチーノさんが演じるジミー・ホッファは全米トラック運転組合の委員長で、独善的、短気でキレやすく口の悪い強烈なキャラクターです。トラブルを起こす「厄ネタ」ですが、実に生き生きと演じていて、特にジミーが「イタ公!」と言ったことから始まる「謝罪しろ!」「お前こそ遅刻しただろ!」といった、中学生同士みたいなののしり合いのシーンは絶品でした。不気味な威圧感を発散するジョー・ぺシさんも含め、いずれ劣らぬツラ構えで、外国人俳優ですが、圧倒的に「昭和」を感じさせました。日本でリメイクするとしても、もう高倉健さんもいないし、菅原文太さんもいないし、梅宮辰夫さんは病み上がりだし、田中邦衛さんは引退されてるし……ああ、昭和のツラ構えした男が揃わないなあ! 

映画は、マフィアと政治権力との関係などに踏み込みながら戦後史を綴っていきます。そして、生き残ったフランクも老境に至り、杖が必要な年齢になって刑務所に送られたりします。出所して、自分の棺桶を購入するシーン、「火葬」だと全部消えてしまう気がする……と「土葬」を選んだり、終活をしながら、「命とは何なんだ……」と思いに耽ります。このあたりの描写が迫ってきます。観ている僕も、今年の夏に入院、手術をし、死んだらどうなるのか、ここまで生きてきたことは何なのかと考えたりしたから、よけいに切実に感じました。また、デ・ニーロさんが「年を取って初めて時の速さに気づくもんだ」という科白も実感させられます。この映画を観る前は「3時間半」という上映時間にちょっと腰が引けましたが、この最後の老境のくだりのためにこれだけの長さが必要だったんだろうと思いました。 (ジャッピー!編集長)

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