10月6日にドラマーのジンジャー・ベイカーさんが、亡くなりました。80歳です。ジンジャー・ベイカーさんといえば、エリック・クラプトンさん、ジャック・ブルースさんと組んだスーパー・トリオ「クリーム」です。僕も高校生のとき、さかんに「クリーム」を聴いていたので残念です。そういえば、少し前に『ジョーカー』(2019 トッド・フィリップス監督)を観たら、ある場面でクリームの「ホワイト・ルーム」が流れてきて強い印象を残しました。

ジンジャー・ベイカーさんは少年時代はトラッド・ジャズに夢中になり、15歳でドラムを始めたといいます。アレクシス・コーナーさんの「ブルーズ・コーポレイテッド」に入ったのがプロとしてのキャリアのスタートです。コーナーさんが開店したクラブは、ブルーズの演奏を聴かせる店でしたが、ベイカーさんのようにジャズから入った人が多かったそうです。エリック・バードンさんや、のちにローリング・ストーンズを結成することになるミック・ジャガーさん、キース・リチャーズさん、チャーリー・ワッツさん、ブライアン・ジョーンズさんなども集まっていました。彼らの音楽の基本にあるブルーズの影響はこの店で育まれたのです。ここで演奏されるブルーズはジャズの影響が強く、インプロヴィゼーションが多用されていたといいますから、「クリーム」での壮絶なインプロ演奏のベースになっているのでしょう。この店に来ていたジンジャー・ベイカーさん、ジャック・ブルースさんもジャズ系だったのです。(何と、ベイカーさんはドラムの前にトランペットを吹いていたという説もあります)

そして、ベイカーさんが「ブルース・ブレイカーズ」時代のエリック・クラプトンさんのプレイに惚れ込み、声をかけ「クリーム」が結成されたのです。セカンド・アルバムから「サンシャイン・オブ・ユア・ラヴ」のシングル・ヒットも飛ばした「クリーム」ですが、何と言っても彼らの名を高めたのはライヴ・パフォーマンスです。それぞれがアドリブでプレイを繰り広げるインプロヴィゼーションで、演奏はどんどん長尺になり、ほとんどバトルのようになっていきます。たしか、クラプトンさんの証言でだったか、ある日、ふとギター演奏をやめても、残りの二人は全く気づかず、延々と自分のプレイに耽溺していた……というエピソードを読んだことを覚えています。

また、ベイカーさんとジャック・ブルースさんは「クリーム」結成前から犬猿の仲であって、ステージ上で取っ組み合いのケンカをしていたほどだったといいます。「クリーム」で売れっ子になってもその仲の悪さは変わることはなく、わずか2年ほどで解散となってしまいます。クラプトンさんの自伝ドキュメンタリー映画『エリック・クラプトン-12小節の人生-』(2017 リリ・フィニー・ザナック監督)の中でも、クラプトンさんは「ジンジャーとジャックはもう修復不可能なほど口をきかなかった」と述べていました。よっぽど嫌な思い出があるらしく「クリーム」を辞めた経緯は語られませんでした。(←この映画については当ブログ20191月4日、1月7日に書きましたのでお読みください)

「クリーム」の三枚目のアルバム「クリームの素晴らしい世界」(←銀色のサイケなジャケット・デザインで有名ですね)のD面最後の曲(といってもD面は2曲だけですが……)「いやな奴」の延々と続くドラム・ソロ、まさにインプロヴィゼーション・バンドとしての「クリーム」の真骨頂でした。パワーあふれるドラム演奏で楽しませてくれたジンジャー・ベイカーさんのご冥福を心よりお祈りいたします。 (ジャッピー!編集長)

 

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