朝ドラ『スカーレット』は、ヒロイン・貴美子(戸田恵梨香さん)がそれまでやっていた「絵付け」から「陶芸」そのものに興味を持ち始め、いよいよ女性陶芸家への第一歩です。八郎に教わり、土を練るシーンでは八郎(松下洸平さん)が後ろから抱きすくめるような形で『ゴースト/ニューヨークの幻』(1990 ジェリー・ザッカー監督)の1シーンを思い出させました。

最近、観た『ハルカの陶』(2019 末次成人監督)にも、若い女性が土を練るシーンがありました。『スカーレット』放映中にバッチリのタイミングですが、この映画も「陶芸」を取り扱っています。公開時期を合わせたのかもしれませんね。『スカーレット』は「信楽焼」ですが、こちらの『ハルカの陶』の方は「備前焼」です。土の練り方も「菊練り」といって練り上げると菊の花のような形になるところや、釉薬を使わないので「土」そのものの質感を活かした素朴な仕上がりが「備前焼」の特徴であるとか、違いが分かりました。

ヒロインのハルカ(奈緒さん)は、東京でOLをしていますが「何となく仕事して、何となく結婚して……となるのかなあ」と、ぼんやりと人生の手ごたえのない日々を送っています。ある日、上司のお供で出掛けたデパートでたまたま「陶芸展」が開かれていて、そこで見た「備前焼」の大皿に魅せられます。それで、休みの日に岡山に行き大皿の作者(平山浩行さん)を訪ねたり、頭の中は「備前焼」の美しさでいっぱいになります。ついには会社に辞表を出して、ひとり「備前焼」の職人を目指して平山さんに弟子入りを志願します。平山浩行さん演じる職人は愛想が悪く、頑固な典型的な職人気質で、「弟子はとらん!」と追いやりますが、近くに住む気のいい老人(笹野高史さん)の口添えで弟子入りを許されます。実は、笹野さんも陶芸家で何と人間国宝!だったのです。そんなエラい人なのに、穏やかで飄々としていて、笹野さんの演技もいい味を出していました。同じ職人だった父(村上淳さん)を亡くして以来、頑なに一人で仕事をする平山さんに「人というのは人と関わることでしか成長できないんだ」という台詞が印象的です。

映画はハルカが少しずつ成長していく姿を描きますが、会社を辞めて未知の世界に飛びこむ行動力がすごいです。そもそもが展示会で「備前焼」の出会った一瞬がスタートなわけですが、人間というのは、自分でも想像もしないところに、「出会い」があって、夢中になって、運命を決定づけてしまうこともあるのです。そんな「出会って」しまった高揚感とそれを突き詰めていこうという気持ちがよく伝わってきました。

そういえば、『スカーレット』の貴美子も、陶芸に向き合っている八郎の「真剣」な姿にうたれた場面がありました。貴美子の場合は、陶芸と恋、ダブルで「出会った」わけですね。  (ジャッピー!編集長)

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