今日、名作『硝子のジョニー 野獣のように見えて』(1962 蔵原惟繕監督)を上映した新文芸坐の「芦川いづみ映画祭」、いよいよ明日1211日が最終日です。最終日の上映は冤罪事件を扱った『青春を返せ』(1963 井田探監督)と『四つの恋の物語』(1965 西河克己監督)の二本立てであります。

『四つの恋の物語』のストーリーは、定年退職したやもめの父親が退職金から50万円ずつ4人の娘に分け与えます。それぞれの娘ははたして、そのお金をどう使うのか……。と、ここまででもうお気づきの方もいるかもしれませんね。そう、これは大映の『家庭の事情』(1962 吉村公三郎監督)と同じ設定です。それも当然、原作が源氏鶏太さんの「家庭の事情」で同じなのです。つまり、大映の『家庭の事情』を日活でリメイクしたというわけですね。

大映の『家庭の事情』は、父親が山村聰さん。4人姉妹は、長女・若尾文子さん、次女・叶順子さん、三女・三条魔子さん、四女・渋沢詩子さんです。脇を船越英二さん、田宮二郎さん、藤巻潤さん、川口浩さん、川崎敬三さん、根上淳さんと錚々たる大映男優陣が固める豪華キャストです。若尾さんの長女は不倫の恋をしていましたが、相手(根上淳さん)がなかなか離婚してくれないので別れて喫茶店を開いて自立しようとしたり、次女の叶さんは恋人に頼まれ50万円すっかり貸してしまったり……とそれぞれ波乱がありますが、最後はハッピーエンドで、5つのカップルが生まれて終わります。(父親の山村聰さんも藤間紫さんと再婚するのです!)

対して、日活の『四つの恋の物語』のキャストは、父親が笠智衆さん、長女・芦川いづみさん、次女・十朱幸代さん、三女・吉永小百合さん、四女・和泉雅子さんという顔ぶれです。お父さんが退職金を娘たちに均等に分ける発端は同じで、四姉妹の性格づけもだいたい同じです。四女は現代っ子というか、ちゃっかり者で、大映版では同僚相手に金貸しを始めたりしますが、和泉雅子さんの方はお金をもらうと競馬場に繰り出して儲けようとします。しかし、物語の感触はだいぶ違います。話の比重は、明らかに三女の吉永小百合さん寄りで、とりまく男性陣のひとり、浜田光夫さんとの交流を中心に進んでいたような記憶があります。吉永=浜田という青春コンビが当時の日活の「売り」でしたから、改変したのだと思います。大映の『家庭の事情』のように全員カップルになって…という終わり方ではなかったです。こういった同原作の映画を比べて観るのも一興ですね。

芦川いづみさんはいかにも長女という感じの落ち着いた美しさを見せてくれる『四つの恋の物語』、明日、新文芸坐で上映です。是非おいでください。(ジャッピー!編集長)

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