昨日の当ブログで、新文芸坐「芦川いづみ映画祭」で本日最終日上映の『四つの恋の物語』(1965 西河克己監督)を取り上げました。先行した大映の『家庭の事情』(1962 吉村公三郎監督)と同じ源氏鶏太さんの原作ですが、物語は改変されています。大映版を踏襲すると「五つの恋の物語」になってしまいますね。三女を演じた吉永小百合さんと、浜田光夫さんが中心になっていることもあるけれど、大映の「文芸」ぽい雰囲気とは違い、やはり「日活」らしい若々しい感じがありました。当時は映画会社それぞれのカラーがありましたね。

『家庭の事情』は1962年1月3日公開、『四つの恋の物語』は19651229日公開ですから、どちらも「お正月」用の映画です。なので、「四姉妹」という設定は自社のスター女優をたくさん出して賑やかな作品にしやすい利点があったと思います。興行的においしい原作だったのでしょう。

ちなみに、『四つの恋の物語』の前の年には、やはりお正月映画(19641231日公開)で『若草物語』(1964 森永健次郎監督)という4姉妹の映画があったのですが、こちらのキャストは長女・芦川いづみさん、次女・浅丘ルリ子さん、三女・吉永小百合さん、四女・和泉雅子さんでした。この『若草物語』で4姉妹の父親を演じたのが伊藤雄之助さんで、僕は観たとき「どうしたら、この父親からこんな美女ばかり4人も生まれてくるのだ!」と思ってしまいました。伊藤さん、すみません。

この『若草物語』は、エリザベス・テイラーさんが出演した映画化作品でも知られるオルコットの原作とは関係なく、「4姉妹」ということで連想できるということでタイトルをつけたのでしょう。こちらの作品も、伊藤雄之助さん演じる父親はやもめですが、後妻をもらいます。それで家にいるのが気まずくなった浅丘ルリ子さん、吉永小百合さん、和泉雅子さんが家出?し、大阪から、既に結婚して東京に住んでいる長女の芦川いづみさんの家に転がりこむという話でした。(芦川さんの夫を演じるのは内藤武敏さんです) 狭いアパートにいつまでも居候できないので、3人は東京で仕事を探し、四女の和泉雅子さんはこっそり「アルサロ」(←「アルバイト・サロン」の略。当時流行っていたのです)に勤めたりして怒られます。『四つの恋の物語』同様、和泉さんは末っ子でちょっと無鉄砲な現代っ子というキャラに見事にハマっています。

こちらも浜田光夫さんが出ていて元々は次女の浅丘ルリ子さんのボーイフレンドだったのですが、浅丘さんが金持ちの和田浩治さんに傾いたり、お父さんのことで浅丘さんと吉永さんの意見がぶつかったりしているうちに、吉永さんは浜田さんを頼りにするようになります。浜田さんをめぐって浅丘さんと吉永さんのプチ三角関係みたいになるのがストーリーの中心となります。ラストは浅丘さんが和田さんと結婚し、吉永さんは浜田さんを追っていくという形で、何となく、日活映画のヒロインの座が吉永さんに移ったというような印象を持ちました。なので、翌年の『四つの恋の物語』で次女だけ浅丘ルリ子さんから十朱幸代さんに変わったのも、吉永さん中心というのを強調したかったのかもしれません。

女優を揃えて華やかな「お正月映画」ですが、そこには各映画会社の今年の「顔」はこの人だというメッセージもあるわけで、次から次へと新しいスター女優が登場し、同じ会社の中でも厳しい競争があることを感じさせます。ちなみに、封切時『若草物語』の併映は『黒い海峡』(1964 江崎実生監督)、『四つの恋の物語』の併映は『赤い谷間の決斗』(1965 舛田利雄監督)で、どちらも石原裕次郎さん主演。男優の方は裕ちゃんがまだまだ日活の顔として君臨していたのですね。(ジャッピー!編集長)

 

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