昨日の当ブログ「梅宮辰夫さん、『仁義なき戦い』一瞬の表情」で書いたように、『仁義なき戦い』(1973 深作欣二監督)第1作で梅宮辰夫さんは「若杉寛」の役を演じ、鮮烈な印象を残しました。実録映画ですから、もちろんモデルがいて、「若杉寛」は、大西正寛さんという伝説のヤクザで「悪魔のキューピー」と異名をとった人物です。残された写真を見ると、大西さんは小柄で童顔なのですが、怒り出すと形相が変わり、その凶暴さは手がつけられなかったといいます。それで「悪魔のキューピー」と呼ばれたそうです。『仁義なき戦い』の劇中、梅宮さん扮する若杉は伊吹吾郎さんの腕を叩き斬りますが、史実では、その時もうひとりの人の腕も叩き斬ったといいます。菅原文太さん演じる広能昌三のモデルである美能幸三さんは、劇中と同じように刑務所内で大西さんに出会い、舎弟分となったのです。暴れっぷりは激しかったけれど、筋の通った人で、地元の警察官はヤクザたちに「同じ極道になるのなら大西マァちゃんのようになれ」と諫めるほどだったといいますから、一目おかれる男だったのですね。恰幅のいい梅宮さんは実物の小柄な大西さんとは体型はだいぶ違いますが、撮影に入るとき、大西さんの弟さんが訪ねてきて「うちの兄貴を演じてくれるそうで、ひとつよろしくお願いします」とあいさつしてくれたそうです。

『仁義なき戦い』は、裏切りや陰謀が渦巻く権力抗争なので次々に登場人物が死んでいきます。なので、シリーズを続けるうちに同じ俳優が別の役になって再登場します。もっとも早い例は、第1作で土居組組長を演じた名和宏さんが、早くも第2作『仁義なき戦い 広島死闘篇』(1973 深作欣二監督)で村岡組組長の役で登場しました。(←このことは当ブログ2018年8月1日「『仁義なき戦い』再登場第1号は名和宏さん」を参照) 梅宮辰夫さんも第3作『仁義なき戦い 代理戦争』(1973 深作欣二監督)で再登場しました。今度は「岩井信一」という神戸・明石組から広島に派遣された幹部を演じました。「よお、昌ちゃん」と言いながら広能と再会するシーンでスクリーンに初めて映りますが、何と眉毛を剃ってでてきましたからインパクト大でしたね。この「岩井信一」のモデルとなったのは、山口組の斬りこみ隊長、山本健一さんです。実際に存命中の「山健」こと山本健一さんは梅宮さんも会ったことがあり「あの親分は眉毛がほとんどないといっていいぐらい薄かったんだよ」方だったそうです。そのため梅宮さんは、最初はメイクで眉をつぶして撮影に臨んだのですが、汗をかくと溶けてしまい、何度もメイクをやり直すはめになってしまったそうです。それで面倒くさくなって、眉毛を剃り落としたのだそうです。ピラニア軍団の志賀勝さんが何かで眉毛を剃っていて迫力があったこともヒントになったそうです。

ということで、眉毛を剃った梅宮さん、撮影が休みになって家に帰ってまだ小さかったアンナさんを抱き上げたら、普段は泣かない子だったアンナさん、その眉無し顔を見て盛大に泣き叫んだという有名なエピソードが生まれたのです。 (ジャッピー!編集長)

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